透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「気象予報と防災」

2020-03-07 | A 読書日記



 新書は中公、文庫は新潮。『気象予報と防災 ―予報官の道』永澤義嗣(中公新書2018)

書店ではまず新書、それも中公新書の書棚を見る。買い求める本を決めていないときはいつもそうだ。この本は帯の**自然災害との格闘**という大きな文字に目が行き、即買い求めた。

朝カフェ読書@スタバ。いつもの大きなテーブルを避けた。

**新聞でも、記者名が記載された記事が増えてきた。担当者名を表示することは、責任の所在が明確になるので、製造元と利用者との間に信頼関係が生まれる。逆にいえば、担当者名が表示されないものは、どこまで信用していいのかわからないということになる。天気予報も、それを作成した予報官や気象予報士の署名入りで発表するようにすれば、作成する側はより緊張感をもって作成し、利用する側はより安心して利用できるようになり、発表者と利用者との信頼関係が増すのではないか。少なくとも、製造元の表示は行うべきである。**(第四章 天気予報の実像 75頁)

本の内容と直接結びつかないような箇所を長々引用した。この件(くだり)を読んで、著者の永澤さんは厳しい方だろうなと思った(おそらく自分にも部下に対しても)。いままで新聞やテレビで報じられる天気予報に予報官の署名があった方が良い、などと考えたことは無かった。

案の定というべきか、読み進むと次のような件が。

**予想最高気温は35℃で、猛暑日が予想されています。**(120頁) この表現を著者は危うい解説だと断じている。なぜ?と思って読み進むと**予想最高気温は1℃刻みの数値で発表されるから、「35℃」は34℃台後半から35℃前半までの幅がある。ゆえに、最高気温が予想通りであっても、その日が猛暑日になるとは限らない。**(120頁)と、理由が説明されていた。

まあ、確かにそうだけど・・・。気象予報士からはそこまでシビアな指摘をするかなぁ、といった声が聞こえて来そうだ。

読了後に感想を書きたい。