透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

続 笹子トンネルで起きた事故

2012-12-04 | A あれこれ

 **以前読んだ本『クモはなぜ糸から落ちないのか』によると(残念ながらその本の所在がわからないので記憶に頼るしかないが)クモがぶら下がる糸は1本に見えるが実は2本だという。1本でクモを吊るすのに十分な強度があるいうことだが・・・。

つまり、クモがぶら下がる糸は1本が切れても大丈夫、そうフェイルセイフになっているのだ。自然界にはこのような例がいくらでも見つかるだろう。**

以上は2007年5月29日に書いたものだ。

笹子トンネルで起きた事故を報ずる新聞記事などで初めて知ったが、長さ5メートル、幅1.2メートル、厚さ8センチメートルの大きさで重量が約1.2トンというコンクリート板をたった1本の吊り棒(鋼材)で吊っていたという。しかも厳しい条件下で劣化しやすいコンクリート躯体に後施工したケミカルアンカー4本(? テレビのニュース番組で示された図が模式的な表現であれば本数は正確ではないかもしれない)で取り付けられたベースプレートから。このようにたった1本の吊り棒で吊るという設計には上記のような考え方が無いのでは・・・。

クモを見習って、吊り棒を2本にするというフェイルセイフな設計をしていたら・・・。

ただし、吊り棒の腐食ではなく、コンクリートの劣化か後施工アンカーの劣化が今回の事故の主因だと思う。コンクリート劣化についてはトンネル躯体のコンクリートの強度や中性化の程度を直ちに調べるべきだ。このことについては次稿で。

笹子トンネルと同じコンクリート板吊り構造の恵那山トンネルなどの緊急点検を3日から始めたというが、少なくとも建設年度が笹子トンネルより古いトンネルは点検をしなくても安全ではないとするのが妥当な判断だろう。直ちにコンクリート板の撤去作業を始めるべきだ。