田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

記憶のタイムワープ

2020-09-26 21:38:50 | ヒゲの盤上の世界
ある日のこと、いつものように新聞のTV欄を見ているヒゲ。
カァちゃんは、iPadで “ アベマの将棋 ” をのぞいています。
やがて、iPadから棋譜読み上げの声が聞こえてきました。
   「 イチゴウギン 」
アレッ? この譜号には記憶があるなぁ~!
この譜号とは、将棋界では棋譜に使われる符号みたいなモノです。
“ 将棋盤の何処に、何という駒を置いたか? ” を示します。
例えば、イチゴウギン(1五銀)のイチゴウとは、縦のライン1筋の五番目の升目のこと。
つまり、算術幾何学上の地点を表している。
そして、ギンとは駒の銀将のこと。

暫くして、今度は 「 サンハチカク 」 と耳に入ります。
アレッ? この譜号にも記憶があるけど!
しかも、コレは極めてレアな手段のハズ。
これだけでピンとくる人は、余程の “ 定跡通 ” かも。

怪訝な顔でヒゲが新聞から目を離すと、
カァちゃんが 「 藤井聡太と丸山九段の対局よ 」 と教えてくれた。
      
局面を見ると、なんと懐かしい “ 角換わり棒銀戦法 ” です。
ほら! 最近のブログ『奨励会三段との対局』に登場した戦型です。(棋譜あり)
部分的に、少し違う所もありますが。

ヒゲがこの定跡を覚えたのは、高校二年の時。
そして、実戦で一度も使うチャンスもなく約20年を経る。
対戦相手がいなかったからです。
この特殊な定跡は、『かみ合う相手』じゃないと成立しないのです。
長い空白を経て、初めて実戦で試した相手は、現役の奨励会三段でした。
ヒゲには、こんな嬉しい事はありませんでした。
こんな機会でもなければ、 『 升田流新手サンパチカク 』 なんて、
使うチャンスはなかったからです。
       

そして、それから更に30年後。
アベマで、この “ 3八角 ” の局面に出会うのが冒頭のシーン。
高校生ヒゲが覚えて約50数年後、高校生聡太くんがこの局面に遭遇している。
そのタイム・トンネル的な展開が、ヒゲ爺をして小躍りさせる。
きっと草場の陰で、あの升田九段もヒゲを撫でながら、
「 ほほう… 」 とニンマリしてるでしょうか!?

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