五輪考 アフター

北京五輪、短距離走の王者　『　ボイド　』　の育ったジャマイカの地を放送していた。
彼が走って育った地形を見ると、なる程これなら、世界一が生まれる訳だと感心した。
これを見て思い出した事がある。

ヒゲが城東小学校５、６年生の頃です。
『　道具　』　が必要な授業の時、「　先生、忘れました。」　がヒゲの常でした。
老女教師は、「　走って、取りに返りなさい。　」　と、いつものワン・パターン。
ヒゲは、すぐに教室を飛び出しますが、校門の所まで来ると、ほんのささやかな思索の間があります。
右の道を行けば、急な荒れ道の登り坂で、しばらく大変だけど、そこを我慢すれば、お城の裏に出て、
後はゆるい下り坂の近道。
左に向けば、道はフラットで綺麗な道だが、遠回りの道になる。

さて、我が家にたどり着いても、道具がある訳ではありません。
満州引き上げの親達は、やっと商売を始めたばかりで、子供の勉強道具にかまっている閑はありません。
しばらくウロウロして学校に戻ると、ちょうど授業が終わる頃です。
取りに戻るというのは、走り続けるというペナルティー儀式みたいなもんです。
まぁ、そんな事が週に２、３回位はあったようです。
そんな調子だから、通知表は、いつも加藤ひふみ九段。１と２と３ばかり。　（５段階です。念の為）

そんな成績でも、ようしたもので、中学には進めました。
そして、・・・ある日
『　マラソン　』　という　『　長距離走大会　』　が催されました。
当然、ヒゲはどんこす　（最下位）　につけていました。
しかし、その日は少しずつ粘って、一人一人と抜いて行きました。　

そして、今の伝統工芸館の方に折れる道に出た時です、
目の前の一直線の道に、誰一人いないのに気づきました。
生まれて初めての出来事でした。
いつも人の尻（ケツ）ばかり眺めて走っていた人間が、初めて自分のケツを人様に見せて走る！！
まるで、映画　『　フォレスト・ガンプ　』　の１シーンです。
トム・ハンクスの偉大なる　『　ワン・パターン　』　からの奇跡。

小学校時代の忘れ物取りの走りこみは、他にも役に立ちました。
弱かった身体に　『　体力　』　を付けられ、中学からの勉強の巻き返しに貢献する事に。
有難うございました！　　竹野先生。