田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

夜の訪問者

2022-12-19 17:02:57 | ヒゲの盤上の世界
1970年代の京都市北区衣笠荒見町。
住宅街だから夜道は暗い。
その上、他県から初めて来る者には分かりにくい場所。
そんな処を、ひとりの男が何やら探すように歩んでいた。

暫く後、弥生荘アパートの学生ヒゲの部屋をノックする音が。
「 おかしいな? 今日は麻雀の約束は無いハズだが ・・・ 」
ドアを開けると、なんと “時のチェス・チャンピオン” が目の前に!
そう、権田くんが靴を手に持って訪ねて来たのです。
「 どうぞ! どうぞ~ 」 と招き入れる。
事前予告なしの訪問ですね。
まぁ、当時はそんな事を気にする人はいない時代です。

ビールなんて高級品を貧乏学生が持っているハズはありません。
徳用ハイニッカの水割りでもてなしです。 (笑)
飲み物はコレで良いとして、ツマミが困った。
コンビニなんて無い時代、スーパーはもう閉店時間。
部屋には、乾燥スパゲッティがあるだけです。
具は玉ねぎ一個・国産Pチーズだけ。
まぁ、アルモンデするしかありません。
「TVでも見ていて~」と言って、ヒゲは五円玉数枚を持って、
共同炊事場に向かいます。
そこには、五円玉を入れると暫く稼働するガス台があるのです。
幸い、先に使っている人はいません! 「ラッキー🤞」
スパゲッティを固茹でしよう。
例の土鍋にコンソメとトマトジュース(野菜ジュースだったか?)を温めて
ソースを用意した。

部屋に戻り、ニクロム線の電熱器に土鍋を置いてスタンバイ。
ヒゲとっさの創作メニュー。
“ スープ・スパゲティー鍋 ” とでもネーミングするか!?
当時は、ケチャップのナポリタンが当たり前の時代。
よくこんな独創的な献立を思いついたなぁ~と、自画自賛。(笑)
その頃の日本製プロセスチーズは、まるで石鹸を喰うみたいと評されていた。
それが、この鍋に入れると不思議な旨味を醸し出すのでした!
      
やっと、この鍋も51年の時を経てお払い箱になりました。
新規の鍋が活躍中です。
               
二人とも寡黙でしたから、将来の日本チェスの為になんて、
坂本龍馬的な話しはありません。
やがて製氷皿の氷もなくなり、布団もなしの四畳半のコタツでごろ寝。
ほろ苦い青春物語でございました。
       
今にして想えば、亡き戦友との貴重なひとときになったのです。

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コメント (1)
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