田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

天ぷらへの誘い〜オコゼ

2020-10-09 17:26:32 | 田園ものがたり
1990年代に入って、何故か天然の魚が少しずつ安くなってきました。
天然専門店の田園にとっては、とてもありがたいことです。
或る日のマルセイ水産に、活けオコゼの箱がありました。
値札は、驚きのグラム300円です。
なんと、養殖タイと同じとは!
70年代のオコゼは、スーパースター。
グラム650〜800円はしたものです。
特に熊本市では、酒飲み垂涎の食材でした。
そんな垂涎の魚・虎魚が、300円で買える。
店的には有難い価格ですが、こんな値段で漁師がやって行けるのか心配。
ガス代も出ないのでは?
価格下落の因を想像するに、こんな手が掛かる天然物を扱う店が
少なくなったのか?
或いは、扱える職人が減ったのか?
        
もちろんヒゲは、箱ごと頂き、急いで店に向かいます。
なにしろ、オコゼは手が要ります。
背ビレ抜きから、タワシ持って水洗いするだけでもせからしい! (笑)
現代なんちゃって厨房では、こんなシーンが見られるかも ・・・ ? 
「 親方~! この魚のトゲはチクチクしまっセ。
    アレッ、なんか指が腫れてきました。 おかしいですヨ~? 」
        
やっとこさで水洗いが終わり、三枚おろしの工程も大変。
黒皮を引いて、小骨抜き。 内臓は掃除して、ボイル。
田園の調理場も大変ですワ!
           
こんなレアな仕入れが出来た日のヒゲは、ネタを使い切ることを目指します。
その日の ≪ 3.500円コース ≫
前菜の後、いつもは3点盛りの造りを出します。
しかし、この日は オコゼの薄造りをポン酢で
そしてメイン(!?)は、 虎魚の黒皮の天ぷら 。
生の黒皮と青唐を使います。
塩を振り、手提げのミニ盆でうやうやしく供すると ・・・・・
客 「 なにい~ 皮だけだとお~ 💢 」
怪訝顔で食べて、 「 なんだ、このふるふる感は? 官能的でさえある! 」
         
その後、オコゼのワタ湯引き・一文字を酢味噌で
更に、オコゼあらの味噌汁
さて、こんな虎魚尽くしの趣向を凝らしたコースを出す時に、
注意すべき事があります。
オコゼのボリュームがないから、満腹感にならない点です。
それで、焼き物や炊き合わせ等でバランスをとることが肝要でしょう。
案外うっかりして、何の為の趣向だったのか?
ひんしゅくを買うことにもなり兼ねません。 ご用心を!

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コメント (2)
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