田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

次郎長物語

2016-09-17 19:12:48 | 田園ものがたり
いつものU先輩と、熊本市の酒場通りにある和食居酒屋を訪れた時のことです。
メニューを拡げると、「 わっ~、こんなレア物も扱っているンだ! 」 と感心しました。
嬉しくて、直ぐに注文したのは、活バリ(ヤノウオ)の刺し身です。
その昔、栄通りの店でヒゲがひとりで演っていた頃の、人気商品でした。
やや時間があって、運ばれたバリの身は、紛れもなく活け物の雰囲気です。
ヒゲ夫婦には、久しぶりの刺身です。
しかし、パクリといった身は、美味しくないのです。
確かに、活けのプリプリの歯ごたえなんですが、イマイチ美味しくない!?
原因は、直ぐに分かりました。

1970年台の終わり頃、ヒゲ夫婦の店はパッとしていませんでした。
営業を終えた夏場の深夜、ちょっと飲もうと、熊本市中央街のある店を訪ねました。
当時としては、ちょっと小じゃれた店で、田園と違い人気もありました。
ヒゲ達は、生け簀のオコゼを頼んで、ビールを飲み始めます。
しかし、店の営業不振の事を思い出すと、二人は盛り上がりません。
オコゼは卸され、血が水道の流水で洗い流されます。
                        
やがて、オコゼが出来上がります。
見ると、肝は生のまま提供されてます。
恐る恐る食べてみると、「 あーいける! 」 美味しいのです。
当時の京都では、全く考えられない手法です。
オコゼの腹わたなんて、当然茹でるモノとの思い込みがあったからです。
                   
次に、上身を頂きます。
「 あれっ? 」 不味くはないけど、美味しくもないのです!?
当時の熊本では、活けのオコゼの刺身は、最高ランクの魚です。
ヒゲ夫婦は、考え込みました。 「 何でだろう? 」
試しに、刺身をもう一枚頂きます。
美味しくないのは変わりません。
しかし、その原因は解りました。 「 なるほど、そうか! 」
刺身が生ヌルいのです。
冷たいビールを飲んでいるヒゲ達には、その温度差が不味さを引き起こしていたのです。
ショボくれていたヒゲは、たちまち高揚していきました。
「 コレは、いただきだぁ~! 」

このオコゼ事件で、田園の店は、息を吹き返した(!)のです。
逆転のスタートです。
活き肝を、生で供する事が出来るのがひとつ。
卸した上身を、氷水で締めながら、同時に温度を下げる。
このふたつのテクニックは、その後の田園の店を救ったのです。
この技術は、中央街のその店の名前を冠して、 『 次郎長物語 』 として
引き継がれていったので御座います。
                             
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