とだ九条の会blog

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自民党「新憲法草案 」は九条をどう変えようとしているのか(1)

2007年10月12日 | ニュース
2005年10月28日、自民党は党創立50周年を記念し、「新憲法草案」を発表しました。これまでもこの自民党の「新憲法草案」については、当ブログでも何度も解説してきましたが、自民党は九条をどのように変えようとしているのかを『憲法の力』(伊藤真著、集英社新書刊)より今一度見てみたいと思います。

まず、伊藤氏は、九条が規定されている第二章を見て、章の名前が大きく変わっていることに気がつくと指摘します。現行憲法では第二章は「戦争の放棄」ですが、「新憲法草案」では「安全保障」と変わっており、「戦争の放棄」という言葉が消えているのです。
そして九条の条項自体はどうかというと、1項はそのままとなっています。自民党は「安心してください。九条1項は手をつけず、変えません。憲法の平和主義は維持しますから。日本が戦争する国になるなんて誤解です」といいたげだと言います。
しかし、九条1項のみでは、侵略戦争を放棄しただけで、この範囲の憲法なら世界でも多くの国の憲法でも規定されており珍しくもありません。実はこれまでもことあるごとに指摘してきたように、九条は2項があってはじめて「いっさいの戦争が放棄されている」のです。なぜかと言うと、自民党の「新憲法草案」のように1項のみで2項が削られているということは、侵略戦争以外の名目の戦争なら「戦争ができる国」になれるからです。つまり、日本がかつてアジアに膨張政策をとって侵略戦争をした15年戦争(満州事変~日中戦争~太平洋戦争)、あるいはそれ以前の日清・日露戦争も、それは「侵略ではなく」「自存自衛の戦争」「国防のための戦争」「アジア解放の正義の戦争」「民主化のための戦争」と言ってきたように、それらの名目の戦争なら許されてしまうからです。
しかし、今の憲法九条2項には「戦力の不保持」と「交戦権の否認」ということが明記されていることによって、はじめてこうした“名目の戦争”“自衛戦争”もいっさいできないのです。

ところが、これまでの歴代自民党政府は、「憲法九条2項により“自衛戦争”はできない」とするものの、「自衛権はあるので、自衛のための必要最小限度の“実力“部隊を持つことができる。それが自衛隊であり、自衛隊は戦力でなく実力だから合憲」「たとえ武力行使をしたとしても、それは自衛権の行使であって、交戦権の行使ではないので許される」と解釈して主張してきました。
これで言うと、現状の九条2項の下でも「自衛のための必要最小限度の実力は行使できる」わけです。それなのに自民党は「新憲法草案」でこの九条2項を削除するとはどういうわけでしょう。それは「必要最小限度の実力行使以上の行動」をする必要性があると考えているからにほかならないと伊藤氏は指摘します。(つづく)

【参考】『憲法の力』(伊藤真著、集英社新書刊、680円+税)


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