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文科省が学校行事で「靖国」訪問を解禁・奨励

2008年09月26日 | 国際・政治

文部科学省が主催して2008年6月末から7月にかけて開いた小・中学校の新教育課程中央説明会の特別活動部会で、「学校行事として靖国神社を訪問してよい」とする「政府答弁書」を配布していたことが、9月19日明らかとなりました。
かつて国民を侵略戦争に動員する役割を果たし、現在も「日本の戦争は正義の戦争だった」との歴史観で、侵略戦争を美化している「靖国神社」に、学校が子どもを連れて行くことを事実上、解禁・奨励したものとして問題は重大です。

ことの発端は、衛藤晟一参議院議員(自民党)が、今年3月27日の文教科学委員会において、1949年10月に当時の文部省が通達した学校主催の靖国神社訪問を禁じる「事務次官通達」が現在「失効」しているか否かを質問し、渡海紀三朗文科相(当時)が「(この通達は)既に失効している」と答弁したことにはじまります。
つづいて、今度はこの答弁を受けて、平沼赳夫衆議院議員(無所属)が質問主意書でこの通達について「失効」を再度確認した上で、「(通達が)有効であるという誤解が全国の教育委員会に残っている」として「誤解を払拭するための具体的措置」を求めたことから、5月23日にこの政府答弁書が閣議決定したものです。
政府はこの政府答弁書のなかで、「靖国神社について他の宗教的施設と異なる取り扱いをする理由もない」として、児童生徒が「歴史や文化を学ぶ目的で訪問してよい」との見解を示していました。文科省の初等中等教育局教育課程課は、資料を配付・説明した理由について、「学習指導要領の定めている学校行事との関連が深いので、一応、情報提供しておく必要があるだろう(との判断から実施した)」と述べています。
しかし、「靖国神社」の戦争博物館「遊就館」の展示では、「日本の戦争は自存自衛の戦争」とか「アジア解放の戦争」と言って、日本国民310万人、アジア諸国民2000万人を犠牲にした侵略戦争を美化する歴史観で描かれています。このようなところに、批判的に物事を見るという学習の土台が発達しきれていない子ども達を「授業の一環として、歴史や文化を学ぶことを目的」(政府答弁書)と言って連れて行くことは、先の侵略戦争を美化する誤った歴史認識を植え付ける危険性があることは誰の目にも明らかです。

今回、このような政府答弁書を政府・文科省から引き出した衛藤参議院議員も平沼衆議院議員も、「靖国派」議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」のメンバー。特に平沼氏は現在、会長です(ちなみに、このほど自民党の総裁となった麻生太郎氏は、同会の前会長であり、現在特別顧問のれっきとした「靖国派」です)。衛藤・平沼両氏は、「学校行事として(靖国神社を)訪問し、わが国の戦没者追悼のあり方を知る機会を奪われてきたということは大変遺憾」と、はばかりません。

今回このように政府・文科省が学校行事として「靖国神社」訪問を解禁・奨励した背景には、復古調の強い学習指導要領の導入に伴い、衛藤・平沼両氏のような侵略戦争を美化する「靖国派」の狙いがあることは確かと言わざるを得ません。

この文科省の新教育課程中央説明会を受け、北海道と埼玉県では、教育委員会が平沼氏の質問主意書や政府答弁書を各学校の教育課程担当の教師に配布するという状況も生まれています。
教育関係者からは、「教育課程を編成するのは現場の教師であり、政府や教育委員会が圧力をかけることは絶対あってはならない」と語っています。

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