埼玉県における参院選の結果について、2019年7月23日配信「東京新聞」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
<【参院選】 緩みと期待 生んだ1増 「無風」参院選 戦い終え>
改選数の一増が「緩み」と「期待」を生み出した。二十一日に投開票された参院選埼玉選挙区。四つの議席は自民現職、立憲民主新人、公明現職、共産新人の与野党二人ずつで分け合った。過去三番目の低投票率となった「無風」の戦いを振り返る。
「三期目だから大丈夫、四人区だから絶対落選しない、そんな甘い考えじゃだめだ」。十九日夜、自民現職の古川俊治さん(56)が地元の東武野田線岩槻駅前(さいたま市岩槻区)で開いた演説会で、同区選出の県議が声を張り上げた。
参院選で二〇一〇年からトップ当選を続ける自民。古川さんが再選を果たした一三年は百万票を獲得し、二位に四十万票差をつけた。今回は改選数が増えた上、二人目の候補擁立も回避。当選が確実視され「緩み」の指摘は絶えなかった。
象徴的な光景があった。選挙戦最終日の二十日にJR川口駅前であった演説会。来援した安倍晋三首相を一目見ようと駅前を埋め尽くした聴衆は、首相が去った瞬間に大半が消えた。古川さんがマイクを握ったのは、その後のことだ。
トップ当選はしたが、低投票率も影響して一三年から二十万票以上減らした。それでも、新藤義孝県連会長は「相対的に最大の票を得ている」と意に介さない。実際、二位以下を二十万票以上引き離した。
自民が「二人目擁立」を見送ってでも重視したのが、一三年から続く公明との協力だ。今回も現職の矢倉克夫さん(44)を推薦し、新藤会長は「かつてないほど成熟した選挙協力ができた」と手応えを口にする。
公明支持者にも当初は楽観ムードがあったが、矢倉陣営は「混戦だ」と危機感をあおり続けた。結果は三位だったが、二位の立民に肉薄。西田実仁県本部代表は「得票率では三年前、六年前にひけを取らない」と自賛した。
◇
油断は立民の中にもあった。新人の熊谷裕人さん(57)は公示直後から優勢が報じられ、高木錬太郎県連幹事長は十二日の緊急県連会議で「決して緩むことなく、しっかり固めていきましょう」と引き締めを余儀なくされた。
議席こそ危なげなく獲得したものの、トップは遠く、公明に四千票差まで迫られた。高木幹事長は二十二日の会見で得票数の評価を避けたが、理想と懸け離れていたのは明らかだ。
県内には立民の国会議員や地方議員がいない地域も多い。全県で戦う力不足が表面化したとも言え、高木幹事長は「立民の旗をくまなく立てる必要があるとあらためて感じた」と話す。
全国的には「自民の党利党略」とも言われた今回の改選数増だが、埼玉では皮肉にも一番喜んだのは共産だった。前回の一六年は次点だったこともあり「絶好のチャンス」と党を挙げ、埼玉選挙区で二十一年ぶりの議席獲得を目指した。
開票があった二十一日夜、期待通りに新人の伊藤岳さん(59)が悲願の初当選を果たし、陣営は歓喜に沸いた。ただ、得票数は落選した前回の四十八万票から三十六万票に減らしている。
三位当選の公明との差も大きく、支持を広げたとは言いづらい。荻原初男県委員長は「やっぱり力が不足しているというのは感じる」と冷静に受け止める。
国民民主や日本維新の会も改選数増に望みをかけたが、県内での支持の低さを露呈。国民の大島敦県連代表は、新人候補の準備期間の短さに加え「組織の大きさの限界もあることは確か」と敗因を上げた。
参院選で二〇一〇年からトップ当選を続ける自民。古川さんが再選を果たした一三年は百万票を獲得し、二位に四十万票差をつけた。今回は改選数が増えた上、二人目の候補擁立も回避。当選が確実視され「緩み」の指摘は絶えなかった。
象徴的な光景があった。選挙戦最終日の二十日にJR川口駅前であった演説会。来援した安倍晋三首相を一目見ようと駅前を埋め尽くした聴衆は、首相が去った瞬間に大半が消えた。古川さんがマイクを握ったのは、その後のことだ。
トップ当選はしたが、低投票率も影響して一三年から二十万票以上減らした。それでも、新藤義孝県連会長は「相対的に最大の票を得ている」と意に介さない。実際、二位以下を二十万票以上引き離した。
自民が「二人目擁立」を見送ってでも重視したのが、一三年から続く公明との協力だ。今回も現職の矢倉克夫さん(44)を推薦し、新藤会長は「かつてないほど成熟した選挙協力ができた」と手応えを口にする。
公明支持者にも当初は楽観ムードがあったが、矢倉陣営は「混戦だ」と危機感をあおり続けた。結果は三位だったが、二位の立民に肉薄。西田実仁県本部代表は「得票率では三年前、六年前にひけを取らない」と自賛した。
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油断は立民の中にもあった。新人の熊谷裕人さん(57)は公示直後から優勢が報じられ、高木錬太郎県連幹事長は十二日の緊急県連会議で「決して緩むことなく、しっかり固めていきましょう」と引き締めを余儀なくされた。
議席こそ危なげなく獲得したものの、トップは遠く、公明に四千票差まで迫られた。高木幹事長は二十二日の会見で得票数の評価を避けたが、理想と懸け離れていたのは明らかだ。
県内には立民の国会議員や地方議員がいない地域も多い。全県で戦う力不足が表面化したとも言え、高木幹事長は「立民の旗をくまなく立てる必要があるとあらためて感じた」と話す。
全国的には「自民の党利党略」とも言われた今回の改選数増だが、埼玉では皮肉にも一番喜んだのは共産だった。前回の一六年は次点だったこともあり「絶好のチャンス」と党を挙げ、埼玉選挙区で二十一年ぶりの議席獲得を目指した。
開票があった二十一日夜、期待通りに新人の伊藤岳さん(59)が悲願の初当選を果たし、陣営は歓喜に沸いた。ただ、得票数は落選した前回の四十八万票から三十六万票に減らしている。
三位当選の公明との差も大きく、支持を広げたとは言いづらい。荻原初男県委員長は「やっぱり力が不足しているというのは感じる」と冷静に受け止める。
国民民主や日本維新の会も改選数増に望みをかけたが、県内での支持の低さを露呈。国民の大島敦県連代表は、新人候補の準備期間の短さに加え「組織の大きさの限界もあることは確か」と敗因を上げた。
◆選挙区投票率を46.48%に訂正 県選管
県選挙管理委員会は二十二日、参院選埼玉選挙区の投票率を、二十一日に発表した46・49%から46・48%に訂正した。
【出典】2019年7月23日配信「東京新聞」
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