東京都は８月２４日、都内で９月１日に営まれる関東大震災の朝鮮人犠牲者の追悼式典に対し、小池百合子知事が昨年に続き今年も追悼文を送らないと主催者である日朝協会など３市民団体で構成する実行委員会「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼実行委員会」に伝えました。
同実行委員会では直ちに「震災という自然災害の犠牲者と、人の手によって命を奪われた犠牲者を同列に見るものだ」と抗議する声明を発表しました。
式典は、１９２３年の関東大震災で「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマを信じた住民らに虐殺された朝鮮人らを悼むため、同実行委員会が毎年９月１日に、墨田区横網公園で開いているものです。
同公園は、かつて旧陸軍の被服廠があった場所で、関東大震災時には被服廠は既に移転していましたが、その跡地が格好の避難場所と見なされていたため周辺住民が家財道具を持って詰めかけました。ところが震災の火災旋風に襲われ、震災による被害の中でも一箇所での死者数としては最多の約３万８千名の犠牲者を出しました。これがこの公園が震災犠牲者を追悼する慰霊の地となってきた理由だといいます。
そのため、同公園内には「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼実行委員会」が１９７３年、震災５０周年を記念して建てた「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」があります。
石原元知事も舛添前知事も、さらには小池現知事も、一昨年までは毎年、都知事が追悼文を寄せてきましたが、小池知事は昨年、別の行事に追悼文を送ったという理由で「全ての犠牲者に哀悼の意を示しており、個別の形での追悼文は控える」と送付を中止しました。
送付再開を知事に求めていた日朝協会など主催者は「知事は朝鮮人虐殺の事実を認めず、過去の歴史に学ぶ姿勢が見られない」と小池知事の歴史認識に対する姿勢を批判していました。
問題は、小池知事が式典に追悼文を送付しないだけでなく、この年（２０１７年）から東京都が朝鮮人虐殺を否定する歴史改ざん主義者である極右レイシスト団体に同公園での集会の開催を許可したために、同じ公園内で同じ日に、朝鮮人虐殺の事実を否定する極右レイシストたちによる集会が公然と行われる事態となったことも併せて記しておきます。（サイト管理者）
【出典参考】2018年8月24日配信「朝日新聞デジタル」
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