鳩山新政権が米軍普天間基地問題で混迷を深めるなか、テレビで興味深いやりとりがありました。
社民党の福島瑞穂党首（消費者・少子化担当相）が連立離脱を示唆する「重大な決意」を表明したことが話題になった１２月５日放送のＴＢＳ系番組「サタデーずばッと」のことです。
日本共産党の小池晃参議院議員（政策委員長）が、「今の政府は迷走している」と述べたうえで、「ほんとうに考えないといけないのは、はたして海兵隊は抑止力というがそうなのか、日本に必要なのかということだ」と指摘。「歴史をみても、海兵隊はベトナム、イラク戦争では殴り込み部隊としてやってきた。世界に海兵隊の基地をおいているのは日本だけだ。６０年もおき続けるのか、それこそ『重大な決意』をしなければならない」と述べたのに対し、司会のみのもんた氏が「日本にある米軍基地の７４・３％を沖縄に６５年近く押し付けてきた」と述べ、「もし日本政府が移転といってアメリカは断るか」と出席者に質問したときです。
自民党の平沢勝栄衆議院議員は、「受け入れられるかはアメリカ次第」と述べました。
これに対し、小池氏は、「それはアメリカ次第ではない。日本政府次第だ」と強調。１９９１年に米軍基地を撤去したフィリピン政府は「いろんな議論があったが、国民のことを考え、基地撤去した」と世界の事例を語りました。
みのもんた氏は、米海兵隊の基地は「キャンプ」と呼ばれ、「永久不滅ではないけど陣取る基地とは違う」と指摘。「キャンプは絶えず移動するためのもの。なにもここ（沖縄）にこだわる必要はない」と応じました。
■この問題では、日本共産党の志位和夫委員長などパネリストが１２月５日、沖縄県宜野湾市で開かれたシンポジウム「いま沖縄の米軍基地問題を考える」（主催・全国革新懇、沖縄革新懇、沖縄県統一連）で発言し、解明しています（概略、１２月１０日付け当ブログで紹介）。
①そもそも普天間基地を含む沖縄の基地は、米軍上陸直後に土地を略奪し建設されたもので、生まれながらにして国際法違反であること。
②沖縄県宜野湾市（人口９万２０００人）のど真ん中、人口密集地に位置し、市面積の約２５％を占め、基地面積の９１％は民有地であり、クリアゾーン（※）内に小学校や病院などの公共施設が１８ヵ所、住宅８００戸、住民３６００人が暮らし、米国自身の「基地安全基準」にも違反するほど“世界一危険な基地”と言われていること。
③普天間基地の「県内移設」は、老朽化した普天間基地にかわって日本国民の税金で最新鋭の新基地を建設することにほかならないのであって、それに対しては７割以上の県民が反対し、「すでに破綻した路線」であること。
④普天間基地の「県外・国外移設」は民主党・鳩山政権の公約であること。そしてそれで民主党は政権交代を実現し、沖縄でも勝利したこと。
⑤移設先の「たらい回し」に終始する民主党の混迷の根本に、「海兵隊（米軍）は『抑止力』として必要」という考えがあること。しかし、海兵隊は「日本の平和と安全」のための「抑止力」などではなく、世界への「殴り込み」を任務とする「侵略力」であること。
⑥「日米安保条約があるから」という呪縛にとらわれていること。だから平沢勝栄衆議院議員のように「受け入れられるかはアメリカ次第」などとアメリカ追随の姿勢から抜けきれないこと。どこかに「移設」すると考えるから難しくなるのであって、「日米安保条約」第１０条（条約の終了）の２項で、「この条約が１０年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意志を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後１年で終了する」としているのだから、全ての米軍基地を即時閉鎖・撤去するのは簡単であること。
こうした観点に立って、民主党政権には特に①「海兵隊（米軍）は『抑止力』として必要」という考え方と②「日米安保条約があるから」というこの２つの呪縛（考え）を大本から改め、普天間基地の無条件撤去、「基地のない沖縄」にむけて本腰を入れた対米交渉を行うことを求めるものです。
（※）「クリアゾーン」＝米軍が弾薬など危険物を所有していることから、１９９２年に作成した「普天間基地マスタープラン」に設定されているいっさいの構築物の設置を禁ずるエリア。
【参考】２００９年１２月６日付け「しんぶん赤旗」
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