とだ九条の会blog

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米国はいつまでも鳩山政権にやさしくはない

2009年12月05日 | 国際・政治

昨日12月4日行われた日米閣僚級作業グループの会合で、米国のルース駐日大使が岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に大声を張り上げて、「普天間基地移設問題」の年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、というニュースが飛び込んできましたが、次に紹介する一文も、2009年10月17日発売の新潮社の国際情報誌『フォーサイト』11月号に掲載されたものではありますが、米国側のいらだちと姿勢がよく分る文章です。1ヵ月前であるため一部事態は“進行”している部分もありますが、脅しとも取れる“警告”なので、参考までに転載し、ご紹介させていただきます。(サイト管理者)

<米国はいつまでも鳩山政権にやさしくはない>

                                 米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長 マイケル・グリーン

発足から一ヵ月を経た鳩山政権は、世論調査で高い支持率を維持している。米国のオバマ政権も敬意と寛容をもって支持する姿勢を示し、あからさまな衝突は避けるよう努めつつ、日本の民主党政権がより現実的な方向へと着実に舵を切っていくことを期待してきた。
だが、ワシントンの高官たちの間には懸念が湧き上がりつつある…。
米国の示す寛容と忍耐を日本の新政権は弱腰あるいは柔軟性の印だと誤認しているのではないか?海上自衛隊のインド洋への派遣や沖縄の米軍基地移転といった問題では、オバマ政権の立ち位置はブッシュ時代とほとんど変わっていないにもかかわらず…。
こうした憂慮を裏書きするのは、鳩山政権の閣僚たちが発するさまざまなシグナルだ。彼らの声に耳を傾けていると、連立与党は野党からの脱皮が思うように進んでいないように思えてくる。独自の見解をマスメディアに自由に開陳していい立場から、自身の発言が海外から日本政府の政策と直結して受け取られる立場へ。その変化に新閣僚たちはうまく適応できていない。新閣僚に「発言統制」が必要なのは珍しいことではないが、オバマ政権や韓国の李明博政権、オーストラリアのラッド政権などの立ち上がりの時期と比較すると、日本の連立政権から飛び出す発言の雑多さは群を抜いている。
たとえば、沖縄問題では北澤俊美防衛相が政策の連続性を強調する一方で、長島昭久同省政務官や岡田克也外相、前原誠司国土交通相は普天間の海兵隊基地の沖縄県外への移転を主張し続けている。だが、現実を見れば、沖縄県内に普天間基地の代替施設ができなければ、米国防総省が海兵隊のグアム移転に同意する可能性は低い。
沖縄では来年、参議院選挙とともに県知事選、名護・沖縄市長選が行なわれ、米軍基地反対派が勢力を強めると見られている。そうなる前に決断を下さないかぎり、鳩山由紀夫首相は普天間問題での掌握力を失い、これまでの合意が無に帰す恐れもある。そして、13年前に米日が普天間基地の閉鎖と沖縄の基地再編で合意して以来続いてきた出口のない状況がさらに続くことになる。
インド洋への海自派遣継続問題についても、日本から聞こえてくる声は混沌としている。北澤防衛相は給油任務の延長はないと言うが、他の閣僚らは新規派遣の可能性を唱えている。
この問題はオバマ政権にとっては大きな政策課題だ。海自が海上給油から引き揚げた場合、燃料の70%以上を海自に依存しているパキスタン海軍のテロ阻止能力は大幅に落ちる(隣国インドのムンバイでは昨年、海上ルートで侵入したテロリストによる破壊活動が実際に起きている)。新政権が対テロ戦争から撤退するということになれば、日本の国際的な名声にも傷がつく。
オバマ政権は、インド洋派遣という単一の問題が米日の同盟関係全体を揺るがす事態は望んでおらず、日本の民主党が海自に対して、たとえ現在とは別の任務になるとしても、意義ある役割を割り当てることを期待している。そのため、今は“ガイアツ”の行使を避けているものの、社会民主党の唱える「平和主義」に民主党が屈するといった、易きに流れる展開は求めていない。

【プロフィール】マイケル・グリーン
米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長。1961年生れ。フルブライト留学生として東京大学大学院に留学。国会議員秘書や新聞記者などで5年間の滞日経験をもち、日本語に堪能。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)より博士号取得。2001年、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)入りし、2004年から2005年まで上級アジア部長。2006年初めよりCSIS日本部長とジョージタウン大学教授を兼務している。

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