とだ九条の会blog

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『特攻隊と憲法九条』――田英夫氏の著書を読んで(2)

2007年07月28日 | 国際・政治
改憲をめざす勢力が国民の日常生活の中に、「戦争ができる国」への準備を着々と進めてきたと指摘する田氏ですが、いかに戦争をやろうとする勢力でも、ある日突然戦争をはじめられるものではないと言います。
「古今東西、戦争というものは人類の歴史の中につきなかったわけですが、それを振り返ってみると、やはり戦争をするまえには着々と準備を進めていく段階が存在しています」と。

どんな戦争にも正当な理由などないものですが、第一に過去の戦争は田氏が言うように「突然はじめられるものではない」ということが分かります。
田氏は、「なぜか私が学校を上がるたびに、戦争が拡大していった」と回想するように、田氏が小学校入学の年に満州事変が起こるのですが、この満州事変も“いわれなき戦争”と指摘します。また田氏が中学に進学した年には盧溝橋事件をきっかけに日中戦争(支那事変、日華事変)に突入していくのですが、これも日本側が“挑発をして起こした戦争”。さらに田氏が高等学校に進学すると、太平洋戦争が勃発するのですが、これも「自存自衛」「アジア解放」のためという身勝手な論理での戦争でした。
さらにアメリカが行った朝鮮戦争にしてもベトナム戦争にしても、突然戦争が始まったわけではなく「朝鮮が先に越境したんだ」とか「北ベトナムが戦争をしかけたんだ」(トンキン湾事件)とか、最近のアフガン戦争もイラク戦争も、アメリカの開戦理由は“言いがかり”といわれるものばかりです。
田氏が学校を上がるたびに戦争が拡大していったというのは偶然かもしれませんが、田氏が振り返ってみたとき、こうした戦争は「突然はじまったわけではない」ということが分かります。

第二にこうした戦争は、始める前には必ず予兆があったということです。田氏は、それを軍国主義教育にも見られたし、日の丸掲揚の風習にも見られた、治安維持法制定で国内の左翼勢力の封じ込めの動きにも見られたし、GHQのレッドパージにもあった、国鉄をめぐる下山事件(1949年7月6日)、三鷹事件(同年7月15日)、松川事件(同年8月17日)も戦争を準備するために事前に反対勢力を押さえ込むというアメリカ占領軍の謀略ではなかったかと思うと述べています。

着々と「戦争ができる国」への準備は、「なにも目に見える軍事力の増強だけではなく、国民やあるいは自分が支配していた地域の住民、そういう人達に、徐々に徐々に戦争に協力させるような手だてを打っていって、そして最後は戦争に突入していくということです。戦争は国が行う殺しあいです。為政者ではなく、兵として駆り出される国民にとっては迷惑な話で、これを積極的に肯定することはありえないことです。けれど、そこをなんらかの方法によって、ベールをかぶせ、たとえば経済的な利益が大きいことを宣伝し、政府や権力を握っているものが進めようとする政策に国民を協力させ、最後は戦争に駆り立てていく――そういうことをやるわけです」と述べています。
そして「そうしたわずかな端緒も見逃さず、これは戦争への道につながるのではないかという警戒心をもつことがみなさんにとって必要なことだと思います」と指摘しました。
是非あなたも田英夫氏の『特攻隊と憲法九条』を読んでみてはどうでしょうか。


【出典】『特攻隊と憲法九条』(田英夫著、リヨン社刊、781円+税)

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