tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格差拡大の原因:遡ればプラザ合意

2017年07月07日 16時07分43秒 | 経済
格差拡大の原因:遡ればプラザ合意
 これまで書いてきましたように、日本人は格差の拡大を嫌い、格差の拡大にはことのほか敏感で、官も民も格差拡大を防止するようなシステムを作り上げて来ていましたが、ここにきて、格差社会化が進み、社会全体が違和感を感じているようです。

 何故こんなことになってきてしまったのでしょうか。考えてみますと、その原因は、30年余を遡る「 プラザ合意」にありそうです。
 プラザ合意が日本にもたらしたのは、$1=¥240を1=¥120にするという円高によって、日本のコストと物価を「ドル建て」で2倍にするという恐ろしいことでした。

 結果、日本は世界一物価の高い国(ドル建て)になりました。日本製品は海外には売れず、逆に輸入品が一気に入ってくることになりました。経済空洞化、ゼロ・マイナス成長時代への突入です。
 ほぼ2年間でそうなったのですが、その結果、ドル建ての世界経済の中で生きる日本経済は、年々努力して日本の物価とコストを半分に引き下げなければならなくなりました。
 
 勿論コストの中の最大のものは人件費です(DGPの約7割)賃金を下げなければ物価も下げられません。日本企業はどう対応したのでしょうか。
 現にGDP自体、1997年534兆円から2009年489兆円に減少しています。企業で言えば売上高の減少です。これへの対応を迫られたのが現場の企業です。

 勿論賃金の引き下げもありました。しかし、現実には、現在払っている賃金を引き下げるという事は法律上も、労使関係上も難しいことです。
 そこで多くの企業が選んだ道は、雇用の削減、新規採用ストップ、正規社員を減らし、賃金の安い非正規を増やし、平均賃金を下げるという方法でした。

 こうして就職氷河期が来、多くの人が新卒者も含めてまともな仕事がなく、雇用者の10数パーセントだった非正規従業員は40パーセントにまで増えたのです。
 このブログで種々取り上げて来ましたように、こうした現実は、日本の経済社会に大きな歪みをもたらしています。
 その中の、大きな問題の一つが「格差社会化」という事にあるようです。

 今、日本経済は、30年の辛苦の果てに、漸く安定性を取り戻し、経済成長に向かって、進もうとしています。しかし、この歪みを直すのには、まだまだ時間がかかるでしょう。 
 しかし、真面目な日本人は、次第にこの格差社会を改善していくのではないかと私は考えています。

ピケティは格差は拡大するもと言いますが、「しかし日本はその例外だ」と言わせたいものです。