tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米個人金融所得年率540兆円増加

2024年08月22日 17時20分13秒 | 経済

アメリカでは個人の金融所得は商務省が調査しているようですが、日経新聞によりますと、今年の4-6月期の伸びを年率換算すると3.7兆ドル、日本円にして540兆円($1=146円)になったという事です。

円安だからとはいえ、540兆円というのは日本のGDPに匹敵する金額です。日本人が汗水たらして、地道に働いて、稼ぎ出す「国内総生産」を、株や投信、銀行預金だけで、それも個人所得だけで稼いでいるというのですからびっくりです。

人口は3倍近いし、GDPは約7倍とはいえ、個人の金融所得だけで日本のGDP に近いような数字というのは・・・、という感じです。

日経新聞が540兆円という数字を取り上げたのは、特にこの4-6月の個人金融所得が大きかったという事もあるでしょう。

とはいえ、これを日本に比べれば約40倍という事で、個人金融資産の総額はアメリかは130兆ドルにも達しているようですが日本の場合は2000兆円を越えましたが14兆ドル程度でしょう。

こう比べてみるとこれまた驚くべき数字の差ですが、アメリカの個人金融資産は、日本の10倍弱で、日本の40倍の収益を得ているという事です。

残念ながら、日本の家計は、一生懸命貯蓄するのですが、その割にリターンは極めて少ないという事です。

確かにそうでしょう、大体日本はゼロ金利ですから、貯金をしても利息などほとんどつかないのです。100万円貯金をしたから、いくらか利息も付くだろうと銀行に行って記帳したら、銀行へ行くバス代にもならなかった、などというのは、だいぶ前からの笑い話です。

勿論ゼロ金利というのは原因に遡れば経済成長がないからで、ゼロ成長経済では理論的には金利はゼロという事になります。

今後は、日銀が政策金利を引き上げましたから、いくらか金利も付くでしょうと喜んでいたら、株が暴落して、やっぱり銀行預金で損がなくてよかった、などというのが日本です。

日本は個人貯蓄の半分強が預金(含現金)で株や投資信託はせいぜい2割程度です

ところが、アメリカは半分強が株式や投資信託で、預金は15%に満たないようです。

あとは日米ともに保険や年金(25%前後)ですが、預金と株式・投資信託のシェアの逆転は、まさに日本とアメリカで対照的です。

そしてこの違いが、個人金融所得の差を生み出しているのが一般的な解説です。この解説は確かにその通りでしょう。

さらに、日本人は預金重視、アメリカ人は投資(株式・投信)重視というのは、国民性や考え方の違いによるというのが大方の解説です。

政府もその考え方を取り、日本人はもっと資産運用に積極的でえなければならないということで「貯蓄から投資へ」という標語を作りNISAやiDeCoといった投資を免税という有利な条件で推奨しています。

ただ、問題はあります。

1つは、 日本経済が成長していないという点です。もう一つは、日本の投資市場、投資機関が、アメリカのような収益を挙げられるかという点です。

アメリカはマネー資本主義の本拠です。マネーの流れを作る立場です。この辺りを掘り下げないと、本当の結論は出ないように思われます。


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