tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

平成30年度の政府経済見通しを見る

2017年12月25日 20時13分25秒 | 経済
平成30年度の政府経済見通しを見る
 去る22日、来年度予算案が閣議決定されましたので、近く、分配国民所得なども入った政府経済見通しが出るはずで、それが発表になれば、政府が考えている来年度の賃上げの水準なども計算できるはずですが、その前に、19日の閣議了解の後発表された政府経済見通しについて、重要なところを見ておきたいとおみます。

 先ずは経済成長率ですが、
名目値:28年度 1.0%(実績)、29年度2.0%(実績見込み)、30年度2.5%(見通し)
実質値:28年度 1.2%(実績)、29年度1.9%(実績見込み)、30年度1.8%(見通し)
 となっていて、名目値では年々増加ですが、実質値では、来年度の上昇率は今年度よりも0.1ポイントですが、低い見通しになっています。

 今年度と来年度の大きな違いは、今年度はGDPデフレータはほとんど上がりません(0.2%)が、来年度は大きく上がって0.8%になるという見込みです。政府は2%インフレを目指していますが、あまり物価が上がることは、国民の多く、特に年金の手取りが減るような高齢者には困ったことですが、残念ながら、政府見通しは、2%インフレに近づくことの方を向いているように思えます。

 GDPデフレータに触れたついでに、GDPデフフレータと消費者あ物価について見ますと
GDPデフレータ:28年度 -0.2%(実績)、29年度0.2%(実績見込み)、30年度0.8%(見通し)
消費者物価指数:28年度 -0.1%(実績)、29年度0.7%(実績見込み)、30年度1.1%(見通し)
 となっていて、政府の説明では、「景気回復による需給の引き締まりで」となっていますが、需給の引き締まりというのは買い手が多くなって品薄になるという事でしょうから、政府は消費需要が伸びてくるとみているという事のようです。
 
 それほど消費が伸びるというのは、消費不振に悩む日本経済ですから、大変結構なことですが、GDPの名目増は2.5%、実質増は1.8%で、一方民間最終消費支出の伸びは名目で2.1%、実質で1.4%ですから、消費よりも生産の方が余計伸びているわけで、需給の引き締まりというのは、特に消費物資で起きるのかなという感じがし、消費者物価が上がった方が良いと考える政府と生活者である家計の感覚の違いがあるようにも思えます。

 働く人の数を見ますと、就業者数の来年度の伸びは0.5%、雇用者の伸びは0.7%と見通されていますから、労働需給は相変わらずタイトで、人口減少、高齢化の中でも、勤勉な日本人の勤労意欲は衰えないという見通しのようです。

 ところでGDPに、海外で日本人日本企業が稼いだ分を加えたGNI(国民総所得)を見ますと、来年度のGDPは564兆円、GNIは586兆円で、日本人が使えるカネは、GDPより22兆円多いという事になります。
 この分は、経常収支黒字の22.8兆円とほぼ見合っていて、政府の説明では、GDPと同じくらいの伸び率としか書いてありませんが、あまり経常黒字が増えると、円高になりやすいので、そのあたり、政府がど考えているのか聞いてみたい気がします。