tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国民の冷静な行動に支えられて

2017年12月23日 14時54分15秒 | 政治
国民の冷静な行動に支えられて
 前回も含めて、近年の春闘については、軽率にはしゃぎすぎる政府(安倍総理?)の態度に些か批判的なことを書いてきましたが、幸いなことに、国民や企業の方は極めて冷静で、現実の経済に整合的な態度で事に処してきているように思います。

 結果的に、日本経済は徐々ながら着実に健全な成長路線に向かって進みつつあるように思います。
 これまで日本経済の回復が遅れた原因は何と言っても、消費不振、統計で見れば、低い賃金上昇率というより平均消費性向の低下にありました。
 
 原因は、政府の意識的に演出したり煽ったりしている将来不安(人口減少、老後不安、不安定雇用の増加、政府債務の増加、などなど)にあるようですが、勤勉な日本人の働きがそうした将来不安を徐々ながら薄めていくように思います。

 政府は大変だ、国難だと言ったほうが、国民に関心を持ってもらえると思うようですが、国民はもっと冷静なのではないでしょうか。
 国民の貯蓄は年々増えていますし、雇用は堅調、物価安定の中で賃金も上昇傾向がみえてきていますから次第に消費性向も上昇が予想されます。

  今、企業経営はかなり積極的ですから、これで消費が少しづつ出てくれば、日本経済のバランスはよくなり、健全な安定成長路線に乗る可能性は強くなっているように思います。
 身近な例ですが、例えば、最近タクシーがつかまりにくくなっていませんか?

 前回指摘しましたように、2018春闘では、連合の賃上げ(ベースアップ)要求の数字2%より、政府の賃上げ介入の数字3%の方が高く、経団連がそれを認めているようなおかしな関係になっていても、現実の企業の場での賃金決定は、それぞれの企業の自主性の中で、労使が合意できる水準に収まっていくでしょう。

 現状の経済情勢、企業業績の中では、多分前年より高めのものになるでしょうし、しかし、インフレ率を2%にするようなお高い賃上げ率にはならないと思っています。

 これから年が明け、労使の春闘の旗開きがあって、真剣な交渉が重ねられ、3月中には大手の山場を越えるという例年と同じ動きの中で、しかるべきところに落ち着いていくでしょう。

 そして期待されるのは、この所の家計の消費に対する意識、態度です。
 これまでは賃金が上がっても、それが消費に反映せず、貯蓄性向が一方的に高まる様相が見られました。
 これからは、日本経済として最も期待されるように、消費意欲の高まりが次第に顕在化するのではないでしょうか。

 そうなった暁には、恐らく安倍政権は「 アベノミクスの大成功」と自画自賛するでしょう。しかし、冷静に日本経済をみている人たちは、その実態は、日本の企業労使、国民全体の、勤勉で真面目な努力の結果と理解しているはずです。

  安倍政権が謙虚で愚直であるならば、その際に、自分のことは兎も角、日本の国民の勤勉な努力、労使の賢明な判断で、日本経済は健全に前進しています、政権を代表して、国民の皆様に感謝しますというのではないでしょうか。