tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人口論議と合計特殊出生率

2017年12月29日 15時21分31秒 | 社会
人口論議と合計特殊出生率
 このブログでは、ずっと「合計特殊出生率」の動きを追ってきました。
 高度成長時代末期から高齢化問題が言われ、それが少子・高齢化問題になり、人口減少問題になってきたというのが従来の動きです。

 日本の合計特殊出生率は戦後のベビーブーム時代以降一貫して下がり続け、今世紀に入っても2005年までは下がり続けました。
 合計特殊出生率というのは、ご承知のように、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す数字で、2.1人ぐらいでないと人口が減るという事になります。


 2005年の1.26人という数字は「1.26ショック」などと言われたショッキングな数字で、このままいくと、将来日本人はいなくなるなどと言われ、日本中が合計特殊出生率の低下を心配する雰囲気になりました。

 そのせいかその後はこの数字は徐々に回復をはじめ、1.4人台まで回復してきています。2.1人にはまだかなりありますが、多くの予測では、この回復はまだ続いていくだろうという事のようです。

 少子化は高齢化に繋がり結局人口減少につながるわけですから、高齢化は社会保障問題を難しくし、人口減少は経済成長を困難にするという事で、政府も当然心配しています。

 しかし見方はいろいろあって、狭い日本に1億2千万人は多すぎる、8千万人ぐらいが丁度良いのではないかとか、人口が減っても、1人当りの数字が高くなれば、暮らしは良くなるから問題ないなどという意見もあります。これも量から質への転換でしょうか。

 常識的に考えれば、人口が増えるにしても減るにしても、急激に変化すると、社会システムや人の意識が追い付かず、いろいろ問題が起きるので、あまり急激に変化するのは良くないといったところでしょうか。

 その意味では2006年以降の合計特殊出生率の上昇は歓迎すべきことで、さらに当面1.8人ぐらいまで上がり、その後はその後で改めてより良い方向を考えるなどと言うのが良いのかななどと言った意見もあるようです。

 ただ、問題は、合計特殊出生率といった数字は、政策でどうなるといった数字ではないことでしょう。
 世界では出生率が回復した国の例として、フランスやスエーデンの例が挙げられますが、フランスでは世界一手厚いと言われる子供手当制度を実施しても何十年も出生率は上がりませんでしたし、スエーデンで出生率が上がって来たとき専門家の方にお伺いしても、「理由は良く解りません。ただ、そんな雰囲気になってきたことはありますね」などと言った返事でした。

 今日本で出生率が上がってきている理由も、誰もうまく説明できないでしょう。しかし上がって来ていることは、良い事だと思います、このまま、こんなペースの上昇が続いてくれればいいなと思っていますが、今年6月に発表になった2016年の数字は微減でした。

 最近の電車の中のベビーカーの様子とか、街を走る子供シート付の電動アシスト自転車の数などを見ていると、回復基調は続いているように思いますが、さて今後の「合計特殊出生率」の動きはどうなるのでしょうか。
 順調な回復傾向が続くことを期待したいと思っています。