tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2018年度予算案:国債依存度は微減

2017年12月24日 20時42分21秒 | 政治
2018年度予算案:国債依存度は微減
 来年度の予算案が22日、閣議決定になりました。予算規模は史上最高97.7兆円、みんなが心配している国債依存度は34.5%で、リーマンショック後に比べれば、かなり下がってきましたが、健全化には程遠く、 プライマリーバランス達成には、税収が10兆円も足りません。

 安倍政権は、2020年度のプライマリーバランス達成は諦め、「ただし財政再建の旗は降ろさない」といういい方に変えました。
 財政再建の旗を下ろしますとは責任ある政権としては絶対言えませんから、具体策は言わず、精神論だけにして「出来ませんでした」と言わなく済むようにしたのでしょうか。

 そんなことで済むのも、日本国民は真面目で、政府が出す国債のほとんどが国内での消化(90%以上)で、外国からいろいろ言われることがないからでしょう。国民の勤倹貯蓄精神で成り立っているのが日本の財政です。

 ここでちょっと国債依存度の推移を見てみますと、下のようです

 バブルで一番潤ったのは政府だなどと言われましたが、バブル崩壊の後も税収は景気に遅れますので国債依存度は10%ほどです。バブル崩壊の後、財政依存が強まり1997年にはアジア金融危機などもあり、90年代の終わりにかけて国債依存度は急増しています。

 2003、2004年度をピークに依存後は下がりましたが、これはいわゆる「いざなぎ越え」の円高不況からの脱出のプロセスです。しかし世の中巧く行かないもので2008年にはリーマンショックが起き、財政出動が必要になります。国債依存度は50%に近づいています。

 2013年からは、日銀の異次元金融緩和で円高デフレは終わり、為替レートの正常化で、日本経済は上昇軌道に乗ります。
 しかしそれ以降の国債依存度はどちらかというと下げ渋りといった状況です。2014年4月からの消費増税も、このグラフでは目立つほどの効果はなく、その後の2回に亘る10%への引き上げの延期で、支出は伸びますから、国債依存度はますます低下しにくくなっています。

 政治家にとっては、消費増税は命取りとった過去の経験もあり、アベノミクスも思うようにいかず、焦りも大きかったのでしょう、安倍さんは消費増税延期の際、2020年のプライマリー・バランス達成には関係ありませんと言っていましたが、結局はギブアップでした。

 予算の中で最大なのは勿論社会保障費で33兆円、国債発行額は34兆円弱ですから、単純に見れば、社会保障費全額が国債で賄われっているという勘定です。しかし国債費(国債の償還・利払い費)が23兆円を超えているのですから、34兆円発行しても、正味10兆円ほどしか使えないといったことになります。

 消費増税に賛成の意見も多くなっています。やはり「旗を掲げる」だけではなく、本気で財政再建を実行することが大事になってきているようです。