tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

労使関係の現場力の強化が必要では

2017年12月04日 14時52分10秒 | 労働
労使関係の現場力の強化が必要では
 今年も師走に入ってしまいました。 あれあれと言っているうちに大晦日になりそうです。
 労使関係の場から見れば、労使ともに、2018春闘への政策のまとめの最終段階で、大変な時期でしょう。

 政府はすでに3%賃上げをと言って2018春闘でも主導権を取りたいようです。すでに、10月ベア2%を打ち出した連合は、定期昇給分と合わせ、計4%程度を要求するという説明もしているようです。

 政府の3%の計算の中身は解りませんが、定期昇給というのは企業の賃金体系の中で本来決まっているものですから、賃金体系を変更しない限り、すでに約束されているものでしょう。連合はいつもながら、現実を見極めた真面目な(真面目過ぎる?)要求態度です。

 賃上げについての労使の真剣な論議は来春に期待するところですが、この何年か気になっているのは、労使関係における現場力の低下(?)の問題です。
 これは労使共にみられるようで、労働組合でも、ストの打ち方が解らないなどという話もありました。経営側でも、何が不当労働行為になるのか知らない経営者や労務担当者が結構いたりするようです。

 ストなど不要な労使関係はある意味では理想でしょうが、不当労働行為はいけません。
 最近は、長期間労働の問題で、36協定も良くマスコミに登場するので、知られてきましたが、36協定を知らいない労使の担当者が結構多いなどという調査も出たりしました。

 矢張り労働三法は、労使関係をより良いものにするためにあるわけですから、経営者、管理者をはじめ、労使関係の担当者は、先ずはその基本的精神をしっかりと理解すべきではないでしょうか。

 労働法制も最近は「働き方改革」などで、目まぐるしく変わるようで、追いつくのも大変かもしれませんが、法律は最低限を規定するものですから、本当に大事なのは、現場の労使関係を、労使双方が喜べるような良いものにすることでしょうか。

 労働組合のサイドでいえば、労働組合活動を通じて、企業をより良いものにするという視点も重要でしょう。労働組合の委員や役員になることによって、事業所や企業のトップの人たちと、直接経営の核心に触れるような議論が出来るというのは、ある意味では素晴らしいことでしょう。

 労使交渉では、直接労使の利害に関わる問題が中心になることが多いかもしれませんが、かつてその成果を誇った「労使懇談会」とか「労使協議会」といった、広範な問題を議題にした労使協議の場は、労使双方の、労使関係の現場力の成長、労使の信頼関係の形成に大きく貢献したと言えるのではないでしょうか。

 労使関係がオープンで、労使間の風通しの良い企業では、不祥事などは起こり得ないなどと言われたこともありましたが、草の根からの健全な労使関係を改めて見直すことも必要な時期ではないかと考えるところです。