司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社法の改正による「支店の所在地における登記の廃止」と司法書士法の改正

2019-10-25 09:47:02 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 今般の会社法の改正に伴う関連整備法により司法書士法の一部改正もされる。

cf. 令和元年7月24日付け「支店の所在地における登記の廃止」と司法書士法の改正

 改正後の司法書士法第58条第4項及び第5項は,次のとおりである。いずれもかっこ書部分が追加されている。

 (司法書士法人の入会及び退会)
第58条 【略】
2・3 【略】
4 司法書士法人は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域外に事務所を設け、又は移転したときは、事務所の新所在地(従たる事務所を設け、又は移転したときにあつては、主たる事務所の所在地)においてその旨の登記をした時に、当該事務所(従たる事務所を設け、又は移転したときにあつては、当該従たる事務所)の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員となる。
5 司法書士法人は、その事務所の移転又は廃止により、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有しないこととなつたときは、旧所在地(従たる事務所を移転し、又は廃止したときにあつては、主たる事務所の所在地)においてその旨の登記をした時に、当該管轄区域内に設立された司法書士会を退会する。
6・7 【略】
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法制審議会民法(親子法制)部会第3回会議

2019-10-23 12:58:56 | 民法改正
法制審議会民法(親子法制)部会第3回会議(令和元年10月15日開催)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900405.html

 第3回会議が開催され,「嫡出推定制度の見直しに関する検討事項」について議論されたようである。
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電子提供措置をとる旨の定款の定めの登記と経過措置

2019-10-22 15:00:14 | 会社法(改正商法等)
 会社法の改正により,株式会社は,定款の定めに基づき,株主総会の参考書類等の内容である情報について,電子提供措置をとることができるものとされ(会社法第325条の2以下),当該定款の定めがある旨は登記事項とされる(会社法第911条第3項第12号の2)。

 上記に関して,いわゆる振替株式を発行している会社については,第3号施行日(公布の日から起算して3年6か月を超えない範囲内において政令で定める日)をその定款の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更の決議をしたものとみなされる(整備法第10条第2項)。

 そして,当該会社は,第三号施行日から6か月以内に,その本店の所在地において,新会社法第911条第3項第12号の2に掲げる事項の登記をしなければならない(整備法第10条第4項~第6項)。
 

整備法
 (社債、株式等の振替に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十条 この法律の施行前に振替機関又は加入者(社債、株式等の振替に関する法律第二条第三項に規定する加入者をいう。)が加入者集会(同法第三十三条に規定する加入者集会をいう。)の目的である事項について提案をした場合については、前条の規定による改正後の社債、株式等の振替に関する法律第三十九条において読み替えて準用する会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第号。以下「会社法改正法」という。)による改正後の会社法(平成十七年法律第八十六号。以下「新会社法」という。)第七百三十五条の二の規定は、適用しない。

2 附則第三号に定める日(以下「第三号施行日」という。)において振替株式(社債、株式等の振替に関する法律第百二十八条第一項に規定する振替株式をいう。)を発行している会社は、第三号施行日をその定款の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置(新会社法第三百二十五条の二に規定する電子提供措置をいう。)をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更の決議をしたものとみなす。

3 前項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社の取締役が株主総会(種類株主総会を含む。以下この項において同じ。)の招集の手続を行う場合(当該株主総会の日が第三号施行日から六箇月以内の日である場合に限る。)における当該株主総会の招集手続については、新会社法第三百二十五条の三から第三百二十五条の七まで(第三百二十五条の五第一項を除く。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

4 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社は、第三号施行日から六箇月以内に、その本店の所在地において、新会社法第九百十一条第三項第十二号の二に掲げる事項の登記をしなければならない。

5 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社は、第三号施行日から前項の登記をするまでに他の登記をするときは、当該他の登記と同時に、同項の登記をしなければならない。

6 第三号施行日から第四項の登記をするまでに同項に規定する事項に変更を生じたときは、遅滞なく、当該変更に係る登記と同時に、変更前の事項の登記をしなければならない。

7 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた場合における第四項の登記の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

8 第二項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社の代表取締役、代表執行役又は清算人は、第四項から第六項までの規定に違反した場合には、百万円以下の過料に処する。

9 第三号施行日において振替投資口(社債、株式等の振替に関する法律第二百二十六条第一項に規定する振替投資口をいう。)を発行している投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人をいう。以下この条において同じ。)は、第三号施行日をその規約の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置(第三十二条の規定による改正後の投資信託及び投資法人に関する法律(以下この条において「新投信法」という。)第九十四条第一項において準用する新会社法第三百二十五条の二に規定する電子提供措置をいう。)をとる旨の規約の定めを設ける規約の変更の決議をしたものとみなす。

10 前項の規定により規約の変更の決議をしたものとみなされた投資法人の執行役員が投資主総会を招集する場合(当該投資主総会の日が第三号施行日から六箇月以内の日である場合に限る。)における当該投資主総会の招集手続については、新投信法第九十四条第一項において準用する新会社法第三百二十五条の三(第一項第三号、第五号及び第六号を除く。)、第三百二十五条の四第二項から第四項まで、第三百二十五条の五(第一項を除く。)及び第三百二十五条の六の規定にかかわらず、なお従前の例による。
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商業登記における印鑑の提出の義務付けの廃止

2019-10-22 13:34:32 | 会社法(改正商法等)
 会社法の改正に伴う整備法による商業登記法の一部改正により,現商業登記法第20条の規定が削除され,印鑑届出の義務付けが廃止されることになる。

 改正後の実務や如何であるが,週刊T&A master 2019年10月21日号(ロータス21)18頁以下によると,

1.オンラインによる登記申請の場合
(1)印鑑届書を持参又は郵送により提出(※ 従来どおり)
(2)印鑑届書をPDFで提出???
(3)印鑑届出をしないことも可

2.書面による登記申請の場合
 印鑑の提出が必須???


「PDFで提出」については,2年ほど前の「オンライン・ワンストップ化検討会」における法務省提出資料では,「印鑑のオンライン提出(PDF等)の課題」として,

・PDF化の際に,印影が多少縮小されたり, 薄くなる場合がある
・システム上,印影の同一性を確保する工夫 が必要
           ↓
・解像度等のスキャンに係る規格を定め, 会社はこれに基づき送信する必要
・利用者のニーズ,システム改修費用等 を踏まえ,検討すべき課題(要省令改正)

cf. オンライン・ワンストップ化検討会第2回
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/dai2/siryou.html

 第7回会議の法務省提出資料では,

【書面提出に限る理由】
・ 印鑑届書をPDFデータに変換すると画質が悪くなり,印影の照合が困難になるおそれ
・ データ画像は自由に拡大・縮小でき,印影の正確な大きさを担保できないおそれ

cf. オンライン・ワンストップ化検討会第7回
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/dai7/siryou.html

とされていたところである。

 確かに,その後の「成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)」において,「印鑑届出のオンライン化を検討する」と明記されてはいるのだが・・・。

「・世界最高水準の起業環境を実現するために、法人設立手続のオンライン・ワンストップ化を行うこととし、以下の事項に取り組むとともに、定期的に取組状況を検証し、令和3年度目途で見直しを行い、必要な措置を講ずる。

-令和2年1月目途で、登記後の手続のワンストップ化を開始するとともに、令和3年2月目途で、定款認証及び設立登記を含めた全手続のワンストップ化、設立登記における印鑑届出の任意化、一定の条件の下で全国での定款認証及び設立登記のオンライン同時申請を対象にした24時間以内に設立登記が完了する取組及び完全オンライン化による添付書類のペーパーレス化を開始する。この際、印鑑届出のオンライン化を検討する。」

cf. 成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2019.pdf

「仮に印影の照合ができなくても,PDFによる提出を選択した会社の自己責任」というわけにもいかないであろう。

 また,商業登記法第20条の規定を削除するにもかかわらず,書面により登記申請をする場合には印鑑の提出が必須とは,商業登記規則の改正による??

 なにやら混迷してきた感。
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社外取締役の設置義務と経過措置

2019-10-22 12:58:12 | 会社法(改正商法等)
 新法第327条の2の規定は,改正法の施行後最初に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までは,適用しないものとされた。

 改正法の施行期日が,仮に令和3年5月1日であるとすると,3月決算の株式会社の場合,社外取締役の設置が義務付けられるのは,令和4年3月決算に関する定時株主総会(同年6月頃に開催)の終結の時からということになる。

 余談ながら,本条における社外取締役である旨は,登記事項ではありません。


改正後
 (社外取締役の設置義務)
第327条の2 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは,社外取締役を置かなければならない。

改正附則
 (社外取締役の設置義務等に関する経過措置)
第5条 この法律の施行の際現に監査役会設置会社(会社法第2条第5号に規定する公開会社であり、かつ、同条第6号に規定する大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものについては、新法第327条の2の規定は、この法律の施行後最初に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までは、適用しない。この場合において、旧法第327条の2に規定する場合における理由の開示については、なお従前の例による。

cf. 改正前会社法
 (社外取締役を置いていない場合の理由の開示)
第327条の2 事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。
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会社法改正に伴う商業登記関係の改正事項と施行期日

2019-10-22 12:41:16 | 会社法(改正商法等)
 会社法改正に伴う商業登記関係の改正事項の主要なものとその施行期日は,次のとおりである。

1.電子提供措置をとる旨の定款の定めの登記(新会社法第911条第3項第12号の2)の新設
 公布の日から起算して3年6か月を超えない範囲内において政令で定める日(改正附則第1条ただし書)

2.株式交付の登記(新商業登記法第90条の2)の新設
 公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日(改正附則第1条本文,整備法附則柱書本文)

3.新株予約権に関する登記事項の簡略化(改正後の会社法第911条第3項第12号)
 公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日(改正附則第1条本文)

4.支店の所在地における登記の廃止(会社法第930条から第932条までの削除)
 公布の日から起算して3年6か月を超えない範囲内において政令で定める日(改正附則第1条ただし書)

5.印鑑の提出の義務付けの廃止(商業登記法第20条の削除)
 公布の日から起算して1年3か月を超えない範囲内において政令で定める日(整備法附則第2号)

6.成年被後見人の欠格条項の見直し(会社法第331条第1項第2号の削除)に係る登記実務の取扱いの変更
 公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日(改正附則第1条本文)

 なお,代表者の住所が登記情報提供サービスによる閲覧対象から外されるという件は,商業登記規則の改正によって実施される見込みであり,現時点において,実施時期は未定である。
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不動産登記規則の一部を改正する省令案に関する意見募集

2019-10-22 00:50:42 | 不動産登記法その他
不動産登記規則の一部を改正する省令案に関する意見募集
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080194&Mode=0

〇 改正の趣旨
「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第16号)が成立し,住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)が改正され,地方公共団体情報システム機構から本人確認情報の提供を受けることができる国の機関等が行う事務に,不動産登記法(平成16年法律第123号)に規定する筆界特定の申請(同法第131条第1項)に関する事務が追加されたことを踏まえ,不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)について,所要の整備を行う。
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「会社法の一部を改正する法律案」が公表

2019-10-21 12:58:52 | 会社法(改正商法等)
会社法の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00252.html

会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00253.html

 秋の臨時国会に上程された改正法案が公表されている。

 原則施行期日は,「公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日」である。

 また,その余の施行期日は,「公布の日から起算して三年六月を超えない範囲内において政令で定める日」である。

 会社法の改正の施行期日は,1年6か月云々なので,令和3年5月1日あたりであろうか。

 商業登記法の一部改正の原則的な施行期日は,1年3か月云々(整備法附則第2号)なので,令和3年2月頃?
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未払い賃金の請求権の消滅時効,3年に

2019-10-21 10:52:05 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51203670Q9A021C1MM8000/?fbclid=IwAR290beRSwJSlvwhiPIrsHHrfk-QZZKJds1NRrOUTc_jViX0s2ta-E_OTUU

 年次有給休暇の請求権や災害補償請求権など,賃金請求権以外の消滅時効についても議論されているようである。

cf. 労働政策審議会(労働条件分科会)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126969.htm
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会社法改正法案が閣議決定

2019-10-18 10:35:09 | 会社法(改正商法等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51092490X11C19A0MM0000/

 本日,閣議決定された。

 整備法(商業登記法の一部改正を含む。)も同じくであろう。
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よくわかる会社法の改正

2019-10-18 06:56:41 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50972480V11C19A0PE1000/

 早わかりである。

「政府が会社法改正案を閣議決定します。」(上掲記事)

 本日?
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日弁連「定款認証手数料の価格検証メカニズムの導入」に関する意見書

2019-10-17 20:08:26 | 会社法(改正商法等)
日弁連「定款認証手数料の価格検証メカニズムの導入」に関する意見書
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2019/191016.html

〇 意見の趣旨
「公証人の手数料に合理性・相当性が認められるべきことは当然である。しかしながら,定款認証業務の所要時間のみを取り出して手数料の多寡を論ずることは相当でなく,公証制度の重要性,広く国民に公証サービスを提供する必要性及び公証制度を維持するといった観点から,どの程度の定款認証手数料が妥当なのかを総合的に検討すべきである。」

 そのとおりである。

cf. 令和元年7月30日付け「公証人の定款認証手数料は高過ぎる?」
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消費者支援機構関西が,ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを提訴

2019-10-16 18:12:37 | 消費者問題
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51032420W9A011C1AC1000/

 適格消費者団体であるNPO法人消費者支援機構関西が,ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する合同会社ユー・エス・ジェイに対して,利用規約の一部差止めを求めて大阪地裁に提訴。

 消費者契約法第12条第1項本文に基づく差止請求である。

cf. 消費者団体訴訟制度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/
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動産・債権を中心とした担保法制に関する研究会(第7回)

2019-10-16 16:59:51 | 民法改正
動産・債権を中心とした担保法制に関する研究会
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/dou-tanpohousei

 第7回会議が開催され,「動産・債権等を目的とする担保権についての検討事項(6)」について,議論されたようである。

 来年秋にも法制審議会に諮問されるそうであるので,来年夏頃まで検討が続けられるものと思われる。
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公証制度揺らぐ信頼?

2019-10-11 12:37:15 | いろいろ
西日本新聞記事
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/550301/?fbclid=IwAR3B13f11B48cAk8jMviLKKZrXvBpw9BgmJ2hp6rGjp4KFHEWUiERayAB7I

 ミスは,あってはならないことだが・・・ゼロにはできないですよね。
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