司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

ベンチャー企業と外為法の改正

2019-10-28 17:51:11 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51411370V21C19A0000000/


「外為法改正案で注目を集めているのは、事前の届け出を義務付ける外国投資家の株式保有水準を10%から1%に下げることだ。だが、ベンチャーキャピタル(VC)の目は全く別のポイントに向いている。投資組合を「法人」と同じにみなすことで届け出義務者を一本化する内容だ。この改正が実現しないと、資金集めに支障を来すと訴える。」

「発端は8月。政省令告示で外国投資家に事前届け出を求める業種が一気に広がった。国の安全に関わる審査の対象業種に、サイバーセキュリティーなどの観点からIT(情報技術)分野も加えられた。その結果、実際は安全保障上の問題とは無縁で、起業して間もないソフトウエア開発企業への投資にまで、事前届け出が求められるようになった。」(上掲記事)

 投資組合の組合員全員が「事前届出」をする煩雑さを解消する改正がされることになるようである。

cf. 対内直接投資等に係る事前届出対象業種の追加等を行います by 経済産業省
https://www.mof.go.jp/international_policy/gaitame_kawase/gaitame/recent_revised/20190527.htm
コメント

定款の定めに基づく株主総会の決議による代表取締役の選定

2019-10-28 13:55:12 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2019年10月5日号に,実務問答会社法第36回「定款の定めに基づく株主総会の決議による代表取締役の選定」(塚本英巨弁護士)がある。

「株式会社の中には,新事業年度の開始日から新たな代表取締役としたいというニーズを持つものがある。たとえば,3月決算の会社が,新たな代表取締役の下で4月1日からの新事業年度を開始したいという場合である・・・・3月中に株主総会において新取締役だけでなく新代表取締役も予選することができないかが問題となる」(上掲116頁以下)

 取締役会設置会社が取締役会の決議により代表取締役を選定する場合には,上記のような予選をすることは不可である(取締役に異動がない場合を除く。)。

 しかしながら,取締役会設置会社であっても定款の定めに基づき株主総会の決議によって代表取締役を選定する場合には如何,というのが上記論考である。

 この点に関しては,既に下記の記事のとおり,「「代表取締役選定の件」の議案の内容として,「第〇号議案「取締役選任の件」が承認可決されて,被選任者〇〇氏から就任承諾がされ,平成〇年4月1日に取締役の就任の効力が生ずることを条件とする」という点を明記する条件付き決議であればOK,と論じていたところであるが,

cf. 平成30年3月18日付け「株主総会の決議によって代表取締役を定める」旨の定款の定めがある場合における代表取締役の予選の問題

 上記塚本弁護士の論考も,私見と概ね同旨であり,「株主総会は,甲の取締役の選任がその効力を生ずることを条件として,甲を代表取締役に選定(予選)する旨を決議することができると解される」と結ばれている。

 おそらく商事課のお墨付きも取っているものと思われるし,上場企業の子会社等にとっては,このような実務が定着すれば,ありがたいであろう。
コメント