司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

商業登記における印鑑の提出の義務付けの廃止

2019-10-22 13:34:32 | 会社法(改正商法等)
 会社法の改正に伴う整備法による商業登記法の一部改正により,現商業登記法第20条の規定が削除され,印鑑届出の義務付けが廃止されることになる。

 改正後の実務や如何であるが,週刊T&A master 2019年10月21日号(ロータス21)18頁以下によると,

1.オンラインによる登記申請の場合
(1)印鑑届書を持参又は郵送により提出(※ 従来どおり)
(2)印鑑届書をPDFで提出???
(3)印鑑届出をしないことも可

2.書面による登記申請の場合
 印鑑の提出が必須???


「PDFで提出」については,2年ほど前の「オンライン・ワンストップ化検討会」における法務省提出資料では,「印鑑のオンライン提出(PDF等)の課題」として,

・PDF化の際に,印影が多少縮小されたり, 薄くなる場合がある
・システム上,印影の同一性を確保する工夫 が必要
           ↓
・解像度等のスキャンに係る規格を定め, 会社はこれに基づき送信する必要
・利用者のニーズ,システム改修費用等 を踏まえ,検討すべき課題(要省令改正)

cf. オンライン・ワンストップ化検討会第2回
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/dai2/siryou.html

 第7回会議の法務省提出資料では,

【書面提出に限る理由】
・ 印鑑届書をPDFデータに変換すると画質が悪くなり,印影の照合が困難になるおそれ
・ データ画像は自由に拡大・縮小でき,印影の正確な大きさを担保できないおそれ

cf. オンライン・ワンストップ化検討会第7回
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/dai7/siryou.html

とされていたところである。

 確かに,その後の「成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)」において,「印鑑届出のオンライン化を検討する」と明記されてはいるのだが・・・。

「・世界最高水準の起業環境を実現するために、法人設立手続のオンライン・ワンストップ化を行うこととし、以下の事項に取り組むとともに、定期的に取組状況を検証し、令和3年度目途で見直しを行い、必要な措置を講ずる。

-令和2年1月目途で、登記後の手続のワンストップ化を開始するとともに、令和3年2月目途で、定款認証及び設立登記を含めた全手続のワンストップ化、設立登記における印鑑届出の任意化、一定の条件の下で全国での定款認証及び設立登記のオンライン同時申請を対象にした24時間以内に設立登記が完了する取組及び完全オンライン化による添付書類のペーパーレス化を開始する。この際、印鑑届出のオンライン化を検討する。」

cf. 成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日閣議決定)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2019.pdf

「仮に印影の照合ができなくても,PDFによる提出を選択した会社の自己責任」というわけにもいかないであろう。

 また,商業登記法第20条の規定を削除するにもかかわらず,書面により登記申請をする場合には印鑑の提出が必須とは,商業登記規則の改正による??

 なにやら混迷してきた感。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
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1 コメント

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書面でも本人が免許証提示で省略だろうね。 (みうら)
2019-10-27 16:45:07
印鑑は押印不要。
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