日司連第74回定時総会において,組織員から,「詐害的会社分割を可能とする現行会社法を早期に改正するための具体的活動をする決議」の承認を求める議案が提出されたが,過半数の賛成を得られず,否決という結果に終わった。
日司連の定時総会における決議としての適否の観点からは,私も賛成し難いと考えていた(議事運営委員の関係で,自席にいなかったので,表決には参加していない。)。
ところで,旬刊商事法務2011年6月25日号「新商事判例便覧」に,「2968 会社分割を原因とする個々の財産移転行為が否認権行使の対象となるとされた事例」として,福岡高裁平成22年9月30日判決(判例タイムズ1341号200頁)が紹介されている。
上記福岡高裁判決は,会社分割自体が破産法による否認の対象となることを認めたわけではなく,会社分割による個々の財産移転行為が否認の対象となることを認めたものである。
会社分割において,分割会社に対し債務の履行を請求することができる債権者は,会社分割につき異議を述べることができず(会社法第789条第1項第2号等),それゆえ会社分割無効の訴えの原告適格も有しない(会社法第828条第2項第9号等)ことから,「詐害的会社分割」に対して抗うことが難しい債権者が存するわけであるが,上記裁判例によれば,そのような債権者も破産法による保護を受けることはできることになる。
すなわち,民法上の詐害行為取消請求のほかに,債権者による破産手続開始の申立てが可能である場合には,破産法上の否認権行使を期待することも考えられるわけである。
日司連の定時総会における決議としての適否の観点からは,私も賛成し難いと考えていた(議事運営委員の関係で,自席にいなかったので,表決には参加していない。)。
ところで,旬刊商事法務2011年6月25日号「新商事判例便覧」に,「2968 会社分割を原因とする個々の財産移転行為が否認権行使の対象となるとされた事例」として,福岡高裁平成22年9月30日判決(判例タイムズ1341号200頁)が紹介されている。
上記福岡高裁判決は,会社分割自体が破産法による否認の対象となることを認めたわけではなく,会社分割による個々の財産移転行為が否認の対象となることを認めたものである。
会社分割において,分割会社に対し債務の履行を請求することができる債権者は,会社分割につき異議を述べることができず(会社法第789条第1項第2号等),それゆえ会社分割無効の訴えの原告適格も有しない(会社法第828条第2項第9号等)ことから,「詐害的会社分割」に対して抗うことが難しい債権者が存するわけであるが,上記裁判例によれば,そのような債権者も破産法による保護を受けることはできることになる。
すなわち,民法上の詐害行為取消請求のほかに,債権者による破産手続開始の申立てが可能である場合には,破産法上の否認権行使を期待することも考えられるわけである。