司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

東日本大震災に伴う商業登記の実務に関するQ&A

2011-06-06 15:03:38 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2011年6月5日号に,「東日本大震災に伴う商業登記の実務に関するQ&A」があり,15のQ&Aが掲載されている。筆者は,法務局民事局商事課商業法人登記第一係長ほかである。

 役員の任期の問題等については,次のとおり。概ね妥当であるが,定時株主総会が長期にわたって開催されない場合の問題については,言及がない。

○ 過料について
 震災により,登記すべき事項について,法定の登記期間を経過して登記の申請をした場合の過料の問題については,特別措置法(※下記)によって,過料が科されない。また,本年6月30日を経過してされた登記の申請であっても,それが震災により登記期間を経過してされたものであるときは,「正当な事由に基づく」ものに当たるとして,過料を免れることができると解される。

cf. 平成23年3月28日付「登記申請義務の猶予について」

○ 役員の任期について
 定款所定の時期よりも遅れて定時株主総会を開催した場合には,役員等の任期満了による退任の日は,実際に定時株主総会を開催した日となると考えられる。
 また,定款所定の時期よりも遅れて定時株主総会を開催した場合に,当該株主総会において選任された役員等の任期の起算点は,当該選任に係る定時株主総会の決議の時となると考えられる。
コメント

剰余金の配当の原資

2011-06-06 11:12:19 | 会社法(改正商法等)
 株式会社が剰余金の配当を行う場合において,その他資本剰余金とその他利益剰余金のどちらから減少させるべきかについては,会社法及び会社計算規則には規定が設けられておらず,剰余金の配当を行う株式会社が適宜に定めることになる(会社計算規則第23条)。当該原資を決定する機関は,株式会社の内部規律に従えばよい。

 しかし,税務上は,その他資本剰余金とその他利益剰余金の双方を同時に減少させる場合には,まずその他資本剰余金を減少させ,次いでその他利益剰余金を減少させるものとする旨の整理がされており,株式会社が任意に定めることは税務上は認められないようである。

 たとえ,株主総会において,先の議案で「その他利益剰余金を原資とする剰余金の配当」,後の議案で「その他資本剰余金を原資とする剰余金の配当」という順で決議を経たとしても,それを前提とした税務処理は認められないようである。

cf. 週間T&A master2011年6月6日号8頁
コメント (2)