株式の死因贈与契約を締結する場合において,当該株式が譲渡制限株式(会社法第2条第17号)であり,かつ,当該株式の発行会社が「株券発行会社」(会社法第117条第6項)であるときは,若干注意が必要である。すなわち,贈与者が死亡したとしても,一筋縄では行かないからである。
① 「株券発行会社」の株式の「譲渡」は,当該株式に係る株券を交付しなければ,その効力を生じない(会社法第128条第1項本文)。死因贈与は,「相続その他の一般承継」ではなく,意思表示に基づく「譲渡」(会社法第127条)であるので,株券の交付がない限り,その効力は,生じないのである。よって,贈与者の相続人の協力が得られなければ,当該相続人に対して,株券引渡請求訴訟を提起せざるを得ないことになる。このような事態を回避するためには,予め執行者を指定し,当該執行者に株券の保管を委ねておくか,あるいは株券を発行する旨の定款の定めを廃止しておくことになろうか。
株券の不所持の申出がされていた場合も,株式会社から株券の発行を受けて,交付の作業をすることが必要となるが,執行者の指定をしていたとしても,当該執行者が株式会社に対して株券の発行を請求することができるのか(常識的には可能であると思うが,株式会社が対応しない場合に,法的な請求が可能であるかは疑問の余地がある。)という問題もある。
② 死因贈与は,「相続その他の一般承継」ではなく,意思表示に基づく「譲渡」(会社法第127条)であるので,株式譲渡制限規定に基づく譲渡承認の対象となる。受贈者は,贈与者の死亡により死因贈与の効力が生じた場合であっても,株式会社に対し,当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求しなければならず(会社法第137条第1項),当該株式会社の承認が得られなければ,当該株式会社又は指定買取人によって買取りをされることになる(会社法第140条第1項,同条第4項)。
「公開会社でない株式会社」にあっては,②はやむを得ないとしても,①の事態は,事前の準備(執行者の指定又は「株券廃止会社」への移行)によって容易に回避することができると思われる。怠りなくである。
① 「株券発行会社」の株式の「譲渡」は,当該株式に係る株券を交付しなければ,その効力を生じない(会社法第128条第1項本文)。死因贈与は,「相続その他の一般承継」ではなく,意思表示に基づく「譲渡」(会社法第127条)であるので,株券の交付がない限り,その効力は,生じないのである。よって,贈与者の相続人の協力が得られなければ,当該相続人に対して,株券引渡請求訴訟を提起せざるを得ないことになる。このような事態を回避するためには,予め執行者を指定し,当該執行者に株券の保管を委ねておくか,あるいは株券を発行する旨の定款の定めを廃止しておくことになろうか。
株券の不所持の申出がされていた場合も,株式会社から株券の発行を受けて,交付の作業をすることが必要となるが,執行者の指定をしていたとしても,当該執行者が株式会社に対して株券の発行を請求することができるのか(常識的には可能であると思うが,株式会社が対応しない場合に,法的な請求が可能であるかは疑問の余地がある。)という問題もある。
② 死因贈与は,「相続その他の一般承継」ではなく,意思表示に基づく「譲渡」(会社法第127条)であるので,株式譲渡制限規定に基づく譲渡承認の対象となる。受贈者は,贈与者の死亡により死因贈与の効力が生じた場合であっても,株式会社に対し,当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求しなければならず(会社法第137条第1項),当該株式会社の承認が得られなければ,当該株式会社又は指定買取人によって買取りをされることになる(会社法第140条第1項,同条第4項)。
「公開会社でない株式会社」にあっては,②はやむを得ないとしても,①の事態は,事前の準備(執行者の指定又は「株券廃止会社」への移行)によって容易に回避することができると思われる。怠りなくである。
しかしながら,例えば,契約締結から20年を経過して贈与者が死亡したような場合に,取締役会のメンバーが総入替えとなっているというケースを考えると,好ましからざる「譲渡」としてトラブルになることが想定されます。
ということでしょうか。
リスクはあるものの有効性は否定できないのではないかと考えておりましたが、確信を得られなかったため質問させて頂いた次第です。
大変助かりました。