フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

すさまじい

2014-07-11 23:36:49 | Weblog
台風8号の傷痕を取り上げるニュースによく、凄まじいという言葉が使われます。もちろんこの意味はものすごいとか凄絶といったニュアンスで使われるわけですが、かつては、凄まじいは興ざめする様子を伝える言葉でした。その文献は「枕草子」で、すさまじきものを並べ立てた段があります。『昼ほゆる犬、春の網代、三、四月の紅梅の衣』と続く有名なところです。また、昇進の前祝いをしたのに昇進出来ずアテが外れた時もすさまじきものと例が出て来ます。となると今とその昔とは全く逆の言葉として使われているのですね。言葉が変化しているわけですが、真逆の意味で使われてしまうと、使われ始めた過程さえ否定されてしまうような気がしませんか。
聞いたことがあるのですが、国民の半分以上が間違って使っていたとしたら、間違いが正解になることがあるということを。読み方にしてもそうです。例えば「三権分立」は私は(さんけんぶんりゅう)と習ったのですが、今は政治家はじめ殆どの人が(さんけんぶんりつ)と読みます。我々アナウンサーは正しく表現を心がけなくてはね。