豆の育種のマメな話

◇北海道と南米大陸に夢を描いた育種家の落穂ひろい「豆の話」
◇伊豆だより ◇恵庭散歩 ◇さすらい考
 

ところ変われば,南米人の気質

2012-06-12 10:00:20 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

南米の国々,例えばブラジル,アルゼンチン,チリ,パラグアイ,ボリビア,ウルグアイは,日本から見ると大同小異と思いがちだが,我々が想像する以上にいろんな面で差異が大きい。経済的に同一圏として深い繋がりはあるが,経済力に差があり歴史的な背景も異なるため,国民性や文化に独自性がみられる。

アルゼンチンとパラグアイを比較してみよう

 

アルゼンチン人は陽気に,賑やかに喋りまくり,心の底で「田舎者のパラグアジョ(パラグアイ人)・・・」と振る舞う。パラグアイ人は相槌をうちながらも,「お喋り軽薄なアルヘンチーノ(アルゼンチン野郎)・・・」と考える。

 

例えば君がレストランに入ったとしよう。

 

アルゼンチンでは,モッソ(ウエイター)が席に案内し椅子を引きながら話しかけてくる,

「夕立が凄かったが,セニョーラ濡れなかったか。日本にもこんな夕立はあるか」

メニューを差し出しながら,飲み物の注文を聞き,

「これが美味しい,お勧めだ」と勧める。

 

一方,パラグアイでは,「今日は」とはいうものの,ほとんど無口だ。何回か通って初めて,「やあ,やあ・・・」と言うことになる。シャイな田舎者の感じだ。

 

この気質の差はどこから来たのだろう?

 

一つは,歴史と民族構成が影響していよう。アルゼンチンの場合は,ヨーロッパ移民を積極的に受け入れる「欧化政策」がとられ,原住民をアンデスの山奥に追いやり,ヨーロッパ人の世界を築き上げた。中でもイタリアからの移住者が多く,ブエノス・アイレスでは5人に1人,全国でも8人に1人がイタリア系だという。

 

一方,パラグアイでは先住民族グアラニイ族とヨーロッパ人の「混血」が大半を占め,今では混血が95%を超えている。更に,パラグアイは隣国との長い戦争,「鎖国政策」を採っていたことも独特の文化・気質を築いた理由だろう。

 

アルゼンチン人は仕事が終われば家にまっすぐ帰り,家族でお茶をし,夕食は家族揃ってとるのが普通で,パーテイも夫婦や恋人同士でと言うのが一般的。一方,パラグアイ人は帰りしなに男同士でビールを飲んでいることが結構多い。

 

パラグアイで日系のご婦人が話すのを聞いた。

「パラグアイの男は日本の男に似ている。仕事の帰りに酒は飲むし,それに立小便をする」

「ん? 立小便・・・」

確かにそうかもしれない。パラグアイでは,車を止めて立小便している姿をよく見かけた。国道沿いに施設が整っていないこともあろうが,辺りを全く気にしている様子もない。

 

「いや,アルゼンチンの男だって立小便するよ」

ただ一回の体験を思い出しながら抗弁してみた。

それは,男同士で出かけた仕事の帰り,夕闇が迫った町はずれの道路わきでのこと。同行の紳士が薄暮の原野に向かって言った。

 

「大地に尿素を施そう・・・」

何をするにせよこの国の紳士にとっては「言葉」が必要なのだ。

声の主は,土壌肥料学専門のインヘニエロ(技師)だった。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エンパナーダとチパ | トップ | ところ変われば,ロマーダで... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

南米で暮らす<歴史・文化・自然>」カテゴリの最新記事