コルチカム「イヌサフラン」
北海道に秋の気配が漂う頃、9月下旬になると「コルチカム」がピンクの花を開く。葉が出ていないのに、地面から顔を出した土筆のようなピンクの蕾は花茎を伸ばし華やかな花弁を開く。花弁の色は遠目にもひときわ目立つ。コルチカムは、春先に根生した光沢ある長い葉が初夏には枯れてしまい、葉が無くなってから花を開く習性があるのだ。
園芸用に球根が販売されているので、ガーデニングのまち「恵み野」でも目にすることが多くなった。拙宅では10年前に植えた球根が絶えることなく、今もなお季節になるとピンクの花を開く。
コルチカムは「イヌサフラン」(autumn crocus, Colchicum autumnaleL.)を園芸用に品種改良したもので、ユリ科コルチカム属の球根植物、60種ほど存在すると言われている。球根は3~5cmの卵型、秋に15cmほどの花茎を伸ばし、サフランに似た花を付ける。翌春になると20~30cmほどの万年青(オモト)やギョウジャニンニクに似た葉を根生する。
イヌサフランとサフランは名前が似ているだけでなく、球根も花の形もよく似ているが全く別の種類。サフラン(saffron crocus, Crocus sativusL.)がアヤメ科クロッカス属なのに対し、イヌサフランはユリ科コルチカム属(イヌサフラン属)である。花の形は似ているが、サフランの花の雄蕊が3本で大きく垂れさがっているのに対し、イヌサフランは6本の雄蕊があるので区別できる。原産地はヨーロッパ中南部から北アフリカと言われる。
サフランは料理の色付けや風味付けのための香辛料として利用されるが、イヌサフランは全草(球根、茎、葉、花など)に有毒成分(コルヒチン)を含んでいるので誤食しないよう注意が必要。
特に、春先の山菜の時期にギョウジャニンニク(アイヌネギ)と間違えて食べ、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、呼吸困難、死に至る例が多い(2007新潟、2014静岡、2015山形、2017北海道、2018北海道など)。その他にも、鱗茎をタマネギやミョウガと間違えた例、球根をイモと間違え誤食した例、乾燥した花柱をスパイスとして誤用した中毒例なども報告されている。
北海道「庭や野山の毒草ハンドブック」にも、食中毒を起こしやすい植物として注意喚起されている。
下の写真はイヌサフラン(北海道「庭や野山の毒草ハンドブック」から引用)。イヌサフランには球根がある。
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