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ホトトギス(杜鵑草)咲く、恵庭の花-33

2022-10-03 11:24:38 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

ホトトギス咲く

昨年の秋、伊豆の草庵を訪れた折に水場の石垣にひっそり咲く草花を見つけた。その中の一本を北海道に持ち帰り鉢植しておいた。その時は名前も気にしなかったが、鉢植えの株は順調に生育、10月初めに開花。蘭の花を想わせる花だ。茎は細く、葉は薄緑で草姿は弱弱しいが、花は可憐ながら華やかである。

調べてみると、ホトトギス(杜鵑草、油点草)らしい。花弁の斑点が鳥のホトトギスの羽毛模様に似ていることから名づけられたと言う。ユリ科、ホトトギス属、学名はTricyritis hirta。多年草で草丈40~100センチ、山野の林下、崖や傾斜地などの日当たりの弱いところに自生すると言う。子供の頃、伊豆の山道を歩いて通学していたが、竹藪の陰で見た記憶が蘇る。

葉は細長い楕円形で互生、葉縁にぎざぎざがなく、つけ根が茎を抱くようになっている。葉の脇に蕾をつけ、白地に紫の斑点がある花を1輪から3輪上向きにつけている。花びらは6枚で斜め上に向かって開く。6本の雄蕊があり、花柱(雌蕊)は3つに裂け、更に先が2つに裂けている。

東アジア(日本、台湾、朝鮮半島)からインドに分布し、20種内外が確認されているそうだ。そのうち日本では13種が確認されており(ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギス、シロホトトギス、タイワンホトトギス、キバナノホトトギスなど)、うち11種が日本固有種だと言う。日本列島を中心に分布していることから、日本が原産であると推定されている。

花言葉は、日本「秘めた思い、永遠にあなたのもの」、海外「優雅、デマ」だそうな。「晩夏から晩秋までの長い期間ホトトギスがひたむきに咲き続けることに因む」と言われるが、「日陰を好み生育するが、花の姿は自己主張が強い」ことによるのではあるまいか。花の写真を撮りながら「なるほど」と思った。

ホトトギスと言えば、誰もが野鳥の「時鳥」を先ず思い浮かべるだろう。或いは徳富蘆花の小説「不如帰」を思い出すかもしれない。俳諧の世界でも時鳥の句は多い。「鳴かぬなら・・・」と詠んだ三武将の逸話も有名。

それに比べて杜鵑草は影が薄い。杜鵑草を詠んだ句は浅学にして知らない。そこで探していたら、次の句が目に留まった。

殉教の土の暗さに時鳥草/後藤比奈夫

追記:鉢植えの他に、一株を庭の花梨の根元に植えたのを思い出した。探してみると、北海道の厳しい冬を乗り越えて健気に咲いている。案外丈夫なんだ。

追記2023.10.12:今年も開花しました。

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