「専門家業務総括概要表2008」から
ダイズシストセンチュウ及び大豆さび病抵抗性品種の育成に関する技術協力が,パラグアイ国地域農業研究センター(CRIA)を研究サイトにして実施された(国際協力機構,平成18年2月15日~平成20年3月25日)。以下は,派遣専門家活動報告概要の一部である。
◆シスト線虫,さび病抵抗性系統が育成された
1. ダイズシストセンチュウ抵抗性品種開発の能力強化
●CRIAの育成系統及び導入品種について,国内6ヵ所で試験を実施し,LCM 167, LCM 168, LCM 176を有望と評価した。また,LCM 167について播種期試験を実施し,適播種期を選定した。
●カニンデジュ県イホビの農家汚染圃場を活用し,抵抗性検定試験を実施した。抵抗性の514系統を選抜した。
●交配,系統及び個体選抜試験選抜,特性検定試験を実施し,新たに有望なLCM 175, LCM 176, LCM 179等を開発した。
2. ダイズさび病抵抗性品種開発の基礎能力強化
●海外から導入した抵抗性遺伝資源19品種系統のうち,7品種が抵抗性または耐性を示した。中でも,PI 5878880A, PI 594760B, PI 59467A, GC 00138-29は比較的良好であった。
●抵抗性と評価されたPI 5878880A,PI 605779E等を親にして人工交配を実施した。現在F4, F2代である。有望系統の育成までには至っていない。
◆パラグアイ初のシスト線虫抵抗性品種「Yjhovy」を開発
●新品種の開発:ダイズシストセンチュウ抵抗性のLCM 167を新品種(CRIA-6, Yjhovy)として登録公表した。CRIAは,その他にも抵抗性の有望系統を所有しているので,引き続き新品種誕生が期待できる。
●論文及び試験成績9,テキスト及び資料4,技術情報7の計20点を印刷公表した。
●研究能力の向上:ダイズシストセンチュウ抵抗性の検定,選抜など抵抗性育種がCRIA独自に実施できる。
◆今後の計画・対応方針・提言
●研究員の定着が課題。
●農業研究の中核である育種研究の継続。
●大豆では,病害虫抵抗性品種開発に加えて,新たに食品・加工用品種開発などの研究課題を検討する。また,除草剤耐性品種の開発に対応する。
参照:土屋武彦2008「専門家業務総括概要表」から
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