豆の育種のマメな話

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恵庭の彫像-9,恵庭駅前の少女像 (山本正道「すずらんに寄せて」)

2014-10-14 10:19:04 | 恵庭散歩<記念碑・野外彫像・神社仏閣・歴史>

JR恵庭駅前(東口)にブロンズの少女像がある。駅前とは言え,えにわ病院の駐車場を背にした路傍にあるので,あまり目立たない。恵庭駅東口の利用者は,札幌への通勤客や北海道文教大学の学生が多いと思われるが,この像を意識することがあるのだろうか。行き交う人々は足早に通り過ぎる。そして昼の時間帯,少女は一人ぽつねんと腰を下ろしている。建立されたのは4年前と比較的新しい。

     

◆山本正道作品「すずらんに寄せて」

彫像の作者は山本正道。横浜山下公園にある彫像「赤い靴はいてた女の子」がよく知られる。その他にも,「想い出」「切り株と少女」「少女」「みちくさ」「春の詩」「風と少女」「乙女像」「帰り道」「森と少女」など,少女をモチーフにした山本作品が全国各地に置かれている。その特徴は,「形を単純化し,細部を省略した丸みをおびた造形。おおらかさ,温かさを覚える作品」とでも言えようか。いずれの少女も俯き加減の表情,この像では「両手で捧げ持つ鈴蘭を愛しむように」注視している。

作者の言葉を借りよう。「朝露に光るすずらんの小さな花束を捧げ,少女は路傍の石に腰をおろし吹き抜けて行く風の音にじっと耳を澄ます。北国の高く澄みきった空の下に広がるすずらんの野,そして少女。私はこの自然と人との優しい共生の姿を彫刻に表してみた。山本正道(説明板から引用)」

なお,JR北広島駅構内の「森と少女(誕生・成就)」,北大構内の「新渡戸稲造顕彰碑」も山本正道の作品。少女像のジャンルと異なる「風景彫刻」には,先に紹介した恵庭ユカンボシ川河畔公園の「時をみつめて」,札幌芸術の森野外美術館の「こだま」,洞爺湖ぐるっと彫刻公園の「風の音‘92」等がある。対比してみるのも面白い。

作者の「山本正道」は,昭和16年(1941)京都府生まれ,東京芸術大学美術部彫刻科卒業(大学院修了),イタリア政府給費留学生としてローマ美術学校で学ぶ。新制作協会会員,フルブライト交換研究員。東京芸術大学教授。平櫛田中賞,中原悌二郎優秀賞,京都国立近代美術館賞,神奈川県近代美術館賞,倉吉緑の彫刻賞,紫綬褒章など受賞。

 

建立主旨について,「平成7年,恵庭駅東口地区の生活環境整備と新市街地形成を目途に,地権者618名による組合が設立され事業に着手された。その規模は,恵庭駅自由通路を含め面積120.7ha,計画戸数2,500戸,計画人口7,500人,事業費113億円におよび,期間15年を要して完成した。ここに組合の事業完了と解散にともない,子供たちの健やかな成長と,温かく安らぎのある街となることを願い,「すずらんに寄せて」の像を建立する。平成22年10月,恵庭市黄金土地区画整理組合(説明板から)」とある。

この地区は今,整備が進み,新しい息吹が感じられる。少女像「すずらんに寄せて」はこの町の発展を見続けることだろう。同時に,「鈴蘭の咲く原野であったことも忘れてはならない」と語りかけているように思える。

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