歌番号六七一
原文 堂以之良寸
読下 題知らす
原文 美奈毛堂乃宇可不
読下 源うかふ(源浮)
原文 己飛之佐者祢奴尓奈久左武止奈幾尓安也之久安八奴女遠毛三留加奈
和歌 こひしさは ねぬになくさむ ともなきに あやしくあはぬ めをもみるかな
読下 恋しさは寝ぬに慰むともなきにあやしく逢はぬ目をも見るかな
解釈 恋焦がれる気持ちは寝ないからと言って慰めるものでもないが、不思議に夢にも遇わぬ目にも遭うこに出逢うようです。
歌番号六七二
原文 止之部天以飛和堂利者部利个留於无奈尓
読下 年経て言ひわたり侍りける女に
原文 美奈毛堂乃春久類
読下 源すくる(源俊)
原文 飛佐之久毛己比和多留加奈寸美乃衣乃幾之尓止之布留末川奈良奈久尓
和歌 ひさしくも こひわたるかな すみのえの きしにとしふる まつならなくに
読下 久しくも恋ひわたるかな住の江の岸に年経る松ならなくに
解釈 長年、互いに恋慕っていることです、貴女の許で住むのを得、その言葉の響きのような、住之江に生える年を経た松ではありませんが。
歌番号六七三
原文 堂以之良寸
読下 題知らす
原文 布知八良乃幾与多々
読下 藤原清正
原文 安不己止乃世々遠部多川留久礼多个乃布之乃可寸奈幾己比毛寸留加奈
和歌 あふことの よよをへたつる くれたけの ふしのかすなき こひもするかな
読下 逢ふ事の世々を隔つる呉竹の節の数なき恋もするかな
解釈 貴女と逢うことは、長い世世を隔てる、その言葉の響きのような、夜夜を隔てる、その時を隔てる言葉のような、呉竹の節、その言葉の響きのような貴女との臥しが少ない、そのような関係の恋をしています。
歌番号六七四
原文 加礼可多尓奈利个留飛止尓寸恵毛美知多留衣多
尓川个天川可八之个留
読下 かれがたになりける人に、末もみぢたる枝に
つけてつかはしける
原文 与美比止之良須
読下 詠み人知らす
原文 以末者天不己々呂徒久者乃也末三礼者己寸恵与利己曽以呂加者利个礼
和歌 いまはてふ こころつくはの やまみれは こすゑよりこそ いろかはりけれ
読下 今はてふ心筑波の山見れば梢よりこそ色変りけれ
解釈 今は縁が果てる、その心の内の見当がつく、その言葉の響きのような、筑波の山を見ると、梢から色変わりするように、私の訪れが間遠のいて、貴女の許に来ずの結果が、互いの心変わりの許名bのでしょう。
歌番号六七五
原文 於无奈乃毛止与利加部利天安之多尓川可八之个留
読下 女のもとより帰りて、朝につかはしける
原文 美奈毛堂乃之計美従乃安曾无
読下 源重光朝臣
原文 加部利遣武曽良毛志良礼寸遠者寸天乃也末与利以天之川幾遠三之万尓
和歌 かへりけむ そらもしられす をはすての やまよりいてし つきをみしまに
読下 帰りけむ空も知られず姨捨の山より出でし月を見し間に
解釈 帰って来た道を全くに覚えていません、その時の空の様子にも気が付かず、心を惹かれて何度も後ろを振り返して見ると言う、あの姥捨山から出た月を見ているかのような、何度も、貴女の屋敷を振り返って見ている間に帰って来たようです。
原文 堂以之良寸
読下 題知らす
原文 美奈毛堂乃宇可不
読下 源うかふ(源浮)
原文 己飛之佐者祢奴尓奈久左武止奈幾尓安也之久安八奴女遠毛三留加奈
和歌 こひしさは ねぬになくさむ ともなきに あやしくあはぬ めをもみるかな
読下 恋しさは寝ぬに慰むともなきにあやしく逢はぬ目をも見るかな
解釈 恋焦がれる気持ちは寝ないからと言って慰めるものでもないが、不思議に夢にも遇わぬ目にも遭うこに出逢うようです。
歌番号六七二
原文 止之部天以飛和堂利者部利个留於无奈尓
読下 年経て言ひわたり侍りける女に
原文 美奈毛堂乃春久類
読下 源すくる(源俊)
原文 飛佐之久毛己比和多留加奈寸美乃衣乃幾之尓止之布留末川奈良奈久尓
和歌 ひさしくも こひわたるかな すみのえの きしにとしふる まつならなくに
読下 久しくも恋ひわたるかな住の江の岸に年経る松ならなくに
解釈 長年、互いに恋慕っていることです、貴女の許で住むのを得、その言葉の響きのような、住之江に生える年を経た松ではありませんが。
歌番号六七三
原文 堂以之良寸
読下 題知らす
原文 布知八良乃幾与多々
読下 藤原清正
原文 安不己止乃世々遠部多川留久礼多个乃布之乃可寸奈幾己比毛寸留加奈
和歌 あふことの よよをへたつる くれたけの ふしのかすなき こひもするかな
読下 逢ふ事の世々を隔つる呉竹の節の数なき恋もするかな
解釈 貴女と逢うことは、長い世世を隔てる、その言葉の響きのような、夜夜を隔てる、その時を隔てる言葉のような、呉竹の節、その言葉の響きのような貴女との臥しが少ない、そのような関係の恋をしています。
歌番号六七四
原文 加礼可多尓奈利个留飛止尓寸恵毛美知多留衣多
尓川个天川可八之个留
読下 かれがたになりける人に、末もみぢたる枝に
つけてつかはしける
原文 与美比止之良須
読下 詠み人知らす
原文 以末者天不己々呂徒久者乃也末三礼者己寸恵与利己曽以呂加者利个礼
和歌 いまはてふ こころつくはの やまみれは こすゑよりこそ いろかはりけれ
読下 今はてふ心筑波の山見れば梢よりこそ色変りけれ
解釈 今は縁が果てる、その心の内の見当がつく、その言葉の響きのような、筑波の山を見ると、梢から色変わりするように、私の訪れが間遠のいて、貴女の許に来ずの結果が、互いの心変わりの許名bのでしょう。
歌番号六七五
原文 於无奈乃毛止与利加部利天安之多尓川可八之个留
読下 女のもとより帰りて、朝につかはしける
原文 美奈毛堂乃之計美従乃安曾无
読下 源重光朝臣
原文 加部利遣武曽良毛志良礼寸遠者寸天乃也末与利以天之川幾遠三之万尓
和歌 かへりけむ そらもしられす をはすての やまよりいてし つきをみしまに
読下 帰りけむ空も知られず姨捨の山より出でし月を見し間に
解釈 帰って来た道を全くに覚えていません、その時の空の様子にも気が付かず、心を惹かれて何度も後ろを振り返して見ると言う、あの姥捨山から出た月を見ているかのような、何度も、貴女の屋敷を振り返って見ている間に帰って来たようです。