麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

明治おばけ暦

2011年10月20日 | 鑑賞
太陰暦から太陽暦に変わり、
窮地に追い込まれる暦問屋。

時は明治五年。
まだ江戸を引きずる庶民を
置き去りに、政府は
維新を押し進めて行く……。

前進座創立八十周年記念
『明治おばけ暦』
(作/山本むつみ、演出/鈴木龍男)

暦問屋だけでなく、
新制度に置き去りにされた
貧しい武士や、
芝居への検閲を嘆く戯作者ら
市井の人々の痛みと
そこに目を向けない官吏の姿に
今の政治への警鐘を込めた
「前進座」らしい芝居。

とはいえ決して堅苦しくなく。
特に序盤は笑いを盛った運びで
客を引き込んで行く……。

そして河竹黙阿弥や守田勘弥、
大隈重信ら歴史上の人物と
無名の人々を絡めながら、
築地のホテル跡地での
奇想天外なクライマックスへ。

朝ドラ版『ゲゲゲの女房』の
脚本を担当した山本の、
演劇戯曲デビュー作は
実に巧みな筆運び。お見事!

あ、おばけ暦ってのは、
禁止された旧い暦がおばけのように
現れては消えながら、
庶民に愛されたもの。

2011.10.14~23、前進座劇場
同.11.25~26、浅草公会堂
来春は京都南座でも上演。
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