東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 借家の更新時に火災保険への加入を言われたが必要があるのか

2012年02月24日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 (問) 私は、2年前に、文化住宅に入居し、今年4月に契約更新を迎えます。家主の代理人を名乗る者から、「火災保険料を負担して火災保険を掛けること」を契約更新の条件にしたいとの申入れがありました。契約書を見ると、火災保険については何もふれられておりおりませんでしたので、断りたいと思っています。万一火災が発生したらどうしたらよいのでしょうか。


 (答) 契約更新は、当事者間で契約条件を変更することを合意して契約書を新たに結ぶ「合意更新」と契約条件を変更せずに、自動的に契約が更新される「法定更新」があります。

 家主が契約を拒絶した時は、「正当な事由」が必要であり、最終的に裁判所の判断で決まります。

 お問い合わせの例では、借主が火災保険を新たに掛けることを条件にして契約を更新することは、借主の同意が必要であり、借主が拒否してもその他の正当な事由がない限り、法定更新されます。

 家屋本体の火災保険は、貸主が負担して加入することであり、借主が火災保険を掛ける場合は家財道具など借主が万一火災による被災の補填です。

 借主が、自らの家財道具などに自己負担で火災保険に加入するかどうかは借主の判断です。

 なお、借主の火元で火災が発生しても、「失火に関する関する法律」によって借主の放火など社会通念に反する原因でない限り、類焼者へ損害賠償に応ずる必要はありません。

 

大借連新聞より


 以下の記述は、東京・台東借地借家人組合

 「失火ノ責任ニ関スル法律」では、「民法709条ノ規定ハ失火ノ場合ニ適用セス但シ失火者ニ重大ナ過失アリタルトキハ此ノ限リニアラス」。失火者に重過失がない限り、損害賠償を請求することが出来ないと規定されている。即ち、火災が単なる過失の場合は失火者の責任を免除している。重過失の場合だけ失火者に責任を負わせている。

 しかし、家主に対する関係においては、債務不履行上の賠償責任が生じる。借家人は借用建物又は部屋を善良な管理者の注意をもって保管する義務があり、また借用期間が満了となった際に借用建物を原状回復して返還する義務がある。

 従って、借家人の過失によって火災・爆発などの事故が生じ、家主の建物に損害が生じたときは、借家人は家主に対し借用建物返還義務が履行不能になることによる損害賠償責任を負わねばならない。

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