最高裁判例
宅地賃貸借契約の更新に際し、賃貸人の一方的な更新料の支払い請求に対し更新料支払義務が生ずる旨の商慣習又は事実たる慣習はないとして更新料請求を認めなかった事例
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人小林宏也、同本多藤男、同長谷川武弘の上告理由第1点について
原審が適法に確定した事実関係によれば、被上告人の所論所為をもって、未だ本件賃貸借契約の継続を不可能又は著しく困難ならしめるものとは認めるに足りないとした原審の判断は、正当として是認できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
同第2点について
宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りないとした原審の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして、是認することができその過程に所論の違法はない。論旨は、畢竟、独自の見解を主張するものであって、採用できない。
同第3点及び第4点について
記録及び原判決事実摘示に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官大塚喜一郎、裁判官岡原昌男、同吉田豊、同本林譲、同栗本一夫
東京・台東借地借家人組合
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