東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 「家賃値上げ請求」

2011年03月10日 | 家賃の減額(増額)

【問】 借家契約の更新のたびに家主から家賃の大幅な値上げを請求されて困っています。どうすればよいのでしょうか。


【答】 家賃は、家主と借家人との合意で自由に決めることができます。その額に法律上の制限はありません。家主が家賃の値上げを請求してきた場合にも、家主と借家人の間で話合いがまとまれば、家賃はそれで決定されます。

 問題は、家主からの値上げ請求に対して借家人が納得できない場合です。借地借家法は、家賃の値上げが請求できる場合として、①土地や建物に対する租税その他の負担の増加、②土地や建物の価格の上昇その他の経済事情の変動、③近隣の家賃と比較して現行の家賃が不相当に低くなったとき、の3つの場合を挙げています(32条1項。この条項は借地借家法施行前からの借家契約にも適用されます)。①から③のいずれかの場合に当り、現行家賃が不相当に低くなっていなければ、家主は値上げを請求することはできません。

 なお、旧借家法の場合は、②の「その他の経済事情の変動」という言葉はありませんでした。借地借家法制定の国会審議の中で、政府は、この意味について、物価や一般国民の所得、労働者の平均賃金などの変動のことで、これまでの家賃に関する裁判実務や鑑定実務で考慮されてきた要素に過ぎないから、その内容は旧借家法と全く変わらず、旧借家法の場合よりも値上げ幅が大きくなることはないと述べています。

 借家期間が2年とか3年とかの短い期間の場合には、この期間は家賃の据え置き期間と解釈されますから、家主はこの期間は値上げを請求することはできません。逆にいいますと、家主にとってはその期間が切れたときに値上げのチャンスがあるわけで、あなたの場合もそのケースです。しかし、前記のように、その場合でも①から③のいずれかの場合に当り、現行家賃が不相当に低くなっていなければ値上げはできません。家主の言い分にそのまま応じることはありません。

 値上げ額について家主と借家人の間で意見が一致しないときは、借家人が相当と考える額(現行家賃を下らなければよいのです)を支払っていれば十分です(32条2項本文)。

 借家人が相当と思う家賃を払おうとしても家主がその額では受取れないといって受取りを拒否した場合には、直ちに供託することが大事です(供託の前に必ず1度は家主に家賃を持参する必要があります)。供託をしておけば、家賃の不払を理由に家主から借家契約を解除されることもありません。

 交渉がまとまらなければ、家主は裁判所に申立をすることになるでしょうが、最終的に裁判で決まった家賃の額が供託した額より多い場合には、その差額に年1割の利息を付けて家主に払うことになります(32条2項但書)。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

東京・台東借地借家人組合

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