東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

(問題6) 借地の契約面積と実測面積の違い

2007年10月12日 | 借地の諸問題

(問題6) 借地の契約面積と実測面積の違い
 (1)借地の契約面積が実測面積より少ないようです。地主に計測しなおしてほしいと申し出たが断られた。借地人自ら測量したら、地主にその費用を請求できるか。

   (①請求できる 請求できない。)


  解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (2)実測面積が契約面積より少なかったときは、地主に多く払いすぎた地代を返還請求できるか。

   (①返還請求できる。 ②請求できない。)

 (解答)
 
借地料を借地面積の単位当たりの倍数で定めていたか(数量指示)どうかで変わってくる。数量指示なら,(1)・(2)とも,①請求できる。そうでなければ,(1)・(2)とも,②請求できない

 

 (解説)
  「土地賃貸借契約書には借地面積50坪と書かれており、今まで50坪あると信じて地代を払ってきました。地代も1坪当たり600円で月3万円と決められていました。
 ところが、今回、測量をしたら私が使っている土地は48坪しかないと事がわかりました。 今まで払い過ぎていた地代は返してもらえますか?」

 この場合、地主から借地をした当初、測量をして50坪あることを確認し、契約書にも測量図が添付されるなど地主も50坪あることを保証しているとみられるとき(法律学の分野では、「数量指示賃貸借」といいます)は、その後、周辺の人が土地を侵食したとかの事情で2坪へったんですから過払い分の返還の問題が出てきます。

 しかし、昔から設定されている大部分の借地は、借地をする際に専門家による測量をして面積を算出するようなことはしていません。したがって、契約書上の坪数はあくまでも地代を算出するための一応の基準として目見当の坪数や登記簿上の坪数を表示しているにすぎないと考えられます。このため、契約書上の坪数と実際に使用している土地の面積とが相違することはよくあることです。

 この場合、地主と借地人の双方は、現実に使用している土地48坪分の対価(地代)として「月3万円にしましょう。 いいです」と合意してきたのです。したがって、一坪当たり600円で50坪という計算方法は地代を算出するための一応の目安に過ぎないので、「実際は2坪少なかった」からといっても「当然,地代が改定されるべきだ」ということにはなりません。

 契約書上の面積より実際の坪数が多かったときも同じ理屈で、地主は、当然に過去の不足分を請求できるわけではありません。

 しかし、昨今は、借地権の価格も高くなっています。 契約更新時などに地主・借地人・周辺地権者立ち会いの上で借地境界を定めて測量をし、契約書に測量図面を添付して契約内容を明確にしておくことは必要であると思われます

 

東京・台東借地借家人組合

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