東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 借地人が破産すると借地契約を解除され、退去しなければならないのか

2010年05月06日 | 借地の諸問題

(問) 借地人ですが、裁判所から破産手続開始決定がありました。借地契約はどうなるのですか、解約されてしまうのですか。


(答) 旧民法621条は「賃借人が破産宣告を受けたときは、賃貸借に期間の定めがある場合でも、賃貸人又は破産管財人は民法617条の規定に従って解約の申入れをすることができる」と定めていた。借地契約については解約の申入れ後1年経過後に契約は終了する旨規定されていた(民法617条)。

 しかし、借地人の破産という事実だけで、借地契約の解約を簡単に認めてしまうと、借地権という財産的価値が契約期間途中で一方的に奪われてしまい、借地人にとって酷な結果となる。また、借地人が生活基盤を喪失することは更に深刻な問題である。

 判例も借地に関しては、「賃貸人が民法621条に基づき賃貸借契約の解約申入れをするためには、正当事由が解約申入れの時から期間満了に至るまで存続することを要し、この正当事由を欠く時は解約申入れの効力は生じないと解すべきである」(最高裁昭和48年10月30日判決)とした。借地人が破産した場合でも、地主からの契約解除に正当事由を要求し、解除権に制限を加え、借地人の保護がなされている。

 破産による解除を認めなくても、仮に賃料の支払いの遅滞があれば債務不履行を理由に契約を解除できるから地主に不利益はない。借地人が破産をしても、地代の支払いが継続し、使用者、使用方法に変更がない限り、地主に経済的な悪影響を与えないので、契約解除権を地主に認める必要はないと言える。

 地主に解除権を認めると、借地人の破産を奇貨として借地権を消滅させるために破産制度を悪用する危険がある。それは地主が借地人の財産を掠奪することを合法化することであり、不当利得を正当化することである。

 そこで破産法(平成17年1月1日施行)の改正に伴い、民法621条が削除された。これに伴い、借地人の破産を理由とする地主からの契約解除を認めないことになった。

 また、借地人が借地上の建物を登記して対抗要件を具備している場合は、破産管財人からの解除権が行使できない規定が新設され、借地人の保護がなされた(破産法56条)。

 

東京・台東借地借家人組合

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