東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 立退料の提供をしても借地更新拒絶の正当事由の充足はないとした事例

2008年06月27日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 6000万円の立退料の提供をもっても、借地の更新拒絶の正当事由の充足はないとした事例 (東京地裁平成元年3月24日判決

 (事実)
 Yらの先々代は、大正10年頃から本件土地を訴外Aから建物所有の目的で賃借した。その後、先代は死亡し、その子であるYの先代が相続していたが、これまた死亡し、昭和27年5月にYらが本件土地の賃借権を共同相続していた。

 訴外Aも昭和45年10月に本件土地を訴外Bに譲渡したが、その翌年より同人とYらの間で地代増額をめぐって折合がつかず、Yらはそれ以降弁済供託を始めた。

 その後、訴外Bも昭和52年7月に本件土地をXに譲渡した。Xも地代の受領を拒絶し、Yらは弁済供託し、Yらの供託は通算して約16年もの長期に及んだ。

 Xの関係する訴外会社は、本件土地周辺の土地を次々と買収し、マンションを建て、本件周辺の土地上の建物はYらの木造平屋建建物を除き高層化するに至った。昭和62年11月、Xは自らの居住用も含めて訴外会社の経営の建直しを考えて、本件土地及び周辺地を利用してのマンションの建築を計画し、これらを正当事由として本件土地賃貸借契約の更新拒絶をなすに至った。

 Yらは本件土地35坪の上に大正10年頃築造(その後、一部修繕)した木造平屋建建物13坪を所有し、姉妹2人(いずれも無職、1人は病気で就労不能)で居住している。XはYらに訴訟中に本件土地上に新築するマンションの1階部分の一部と5000万円の提供を申出たが、Yらは拒否した。

 そこで、Xは正当事由の補充として6000万円の提供を申立、本件土地の明渡しを求めた事案である。

 (判旨)
 「正当事由が十分でない場合には立退き料の提供という負担付土地明渡す請求をすることによって更新拒絶に際しての正当事由の充足を保つことが可能となる場合があることは否定できないが、本件においては前判決の通り、本件土地使用の必要性について、原告と被告らの間にその度合において著しい格差があり、立退料の提供という事情のみをもってしては、右必要性の格差を到底埋めるものではないから、原告の右立退料の提供によって、本件更新拒絶の正当事由の充足がなされたものとは考えることができない」

 (寸評)
 本件は典型的な土地の有効利用を正面に掲げての正当事由をめぐる争いであった。現行法からすれば判決は当然の結論といえる。

 なお、Yらは東借連に結集する組合員である。

(1989.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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