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判例紹介
建物賃借権の無断譲渡につき、信頼関係を破壊しない特段の事情があるとして、解除の効力が否定された事例 (東京地裁平成4年7月29日判決、判例時報1462号122頁)
(事実)
家主は借家人に対し、寿司屋営業の目的で建物を賃貸していたが、借家人が本件建物を無断譲渡したとして本件賃貸借契約を解除し、本件建物の明渡しを求めた。
これに対し、借家人らは本件建物賃借権の無断譲渡があるとしても、信頼関係を破壊しない特段の事情があると争った。
(争点)
本件無断譲渡について、信頼関係を破壊しない特段の事情があるか否か。
(判決の要旨)
裁判所は、借家人から本件建物賃借権を譲受けたものが借家人の義理の兄弟であり、両者の交代の前後を通じて本件建物での営業内容に大きな変化がないことまた、右本件賃借権譲渡が無償で行われたものであり、賃料支払につき延滞がなく、家主の不利益がさほど大きいと認められないこと、他方本件の建物明渡が認められた場合には本件建物賃借権を譲受けたものの家族の生活の拠点が奪われることになるので、本件賃借権の譲渡は信頼関係を破壊しない特段の事情があるというべきであるとして、家主の本件建物明渡請求を棄却した。
なお、この場合、誰が借家人になるのかの点については、賃借権の譲受人ではなく、依然として、本件賃借権の譲渡人であると判示した。
(短評)
判例は、賃借人に無断譲渡・転貸があった場合には、それだけで、賃貸借契約をの解除を認めるのではなく、右譲渡・転貸が賃借人に対する信頼関係を破壊するに足りない特段の事情がある場合には、賃貸借契約の解除を認めないとする。(最高裁昭和39年6月30日判決、民集18‐5‐991等)
これまで右判例理論に基づき、地方裁判所や高等裁判所段階でも多数の判決が存在するが、本判決も、賃借権の無断譲渡に該当するとしながら、判決理由の内容からして契約解除を認めなかったものであり、従来の判例理論に従ったものといえる。
なお、賃貸借解除が認められない場合の賃借人については、近時の判例理論は、賃借権の譲渡があった場合と同様に賃借権の譲受人がなるというのが通例である。しかし、この点本判決は異例といえる。
(1993.11.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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