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判例紹介
地主が自己使用を理由に、土地の有効利用を問題にしつつ、5500万円の立退料を堤供してなした土地明渡請求が棄却された事例 (東京高裁昭和60年12月24日判決)
(事案)
借地人は先代地主より杉並区に90坪の土地を借り受け、そこに建坪17坪の家屋を建てて昭和10年以来住み、現在は妻と2人で暮らしている明治36年生まれの老人(当時83歳)である。左脚骨髄炎による歩行困難に加え、酢年前に肺炎・胃潰瘍等を患い、現在も体調は一進一退であり、近くのアパートに住む四女の世話を受けている。
地主は大正4年生まれの女性(当時71歳)であり、現在息子所有の神田錦町の7階ビルの7階2室に居住して、階下の二男夫婦の世話を受けている。視力が著しく衰えたうえ、騒音・悪臭等環境が悪いので、夫が昭和56年に死亡したのを契機に、本件借地の明渡を受け、そこに長男一家と自分のために住宅を2棟建て移転したいと考えた。
そこで立退料5500万円若しくは近隣の土地40坪の所有権譲渡と引き換えに本件借地の明渡を求めてきた。
(判旨)
高等裁判所は、(事案)で紹介した事実をすべて認めたうえで借地人につき「年齢、健康状態及び日常生活を考えると、今にわかに右居住を移動することは、単なる経済的あるいは感情的理由からばかりでなく、社会的、客観的にみても著しく困難なことと認めざるを得ない。
本件土地が老夫婦だけで居住するにはかなり広い土地であり、現況での利用効率が高くなく、また、地代が低額に抑えられているからと言って、右の状態にある借地人において本件土地の使用の継続を望むことが社会的、公益的に不合理であり、権利の濫用になるというのは相当ではない」とし、借地人の必要度が地主のそれを上回ると認定し「立退料又は代替土地の提供を申出ていることを考慮しても、正当事由があると認めることはできない」と判断して、地主の土地明渡請求を退けた。
(短評)
本件は東借連常任弁護団の2人の弁護士が担当した当組合員の事案である。
地主(71歳)借地人(83歳)とも老齢であり、5500万円の立退料等やや思い切った条件を提示した地主の言い分は裁判所をそれなりに動かす恐れがあった。加えて90坪の借地に17坪の家屋を建ててそこに夫婦2人で住むという使用形態につき、地主側は土地の有効利用問題を前面に立てて裁判所を動かそうとした。
このような事案につき、借地人の言い分を認め、地主の請求を退けた本判決の意義は大きいと考え、紹介する次第である。
(1986.09.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
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