東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 土地有効利用のための建替えが明渡の正当事由とならなかった事例

2008年06月25日 | 建物明渡(借家)・立退料

 判例紹介

 賃貸建物を建替えてより有効な土地活用をすることは、立退正料の提供があっても正当事由とはならないとされた事例 東京地方裁判所平成元年7月28日判決

 (事案)
 賃借人は、昭和55年12月、本件建物の1階を賃借して鍼灸接骨院を営んでいたが、家主は、昭和62年12月、建物は終戦直後に建てられたもので老朽化しているので、日本橋茅場町の中心街に近く交通至便の地域に位置する本件場所においては、木造2階建て建物よりビルを建築した方が土地利用効果からみればはるかに有用であるので、立退料1000万円を提供するので明渡して欲しいと請求した。

 (判決要旨)
 原告と被告は、昭和57年12月、期間を2年とする更新契約をしたが、その契約書で、4年後以降に建物の建替えの必要性があることを被告が認諾したこと建替えに関する具体的条件については、その時点で改めて双方で打合わせることが特約された。

 原告(貸主)は借家住まいをし、自らの電気設備設計の事務所も賃借しており、被告から本件建物の明渡を受けた場合には、その後に新たにビルを建築して、これを居住及び仕事の事務所として利用したいとの希望を有している。もっとも、原告は、横浜市金沢区にも居宅を所有しており、現在は空家となっている。

 被告(借主)は、昭和55年10月、20年余の会社勤めを辞めて新たに鍼灸院を開業することを決断し、以後8年余の年月を経てようやく順調な経営が実現する段階に至っている。従って、この時点で右営業の場を他に移転し、改めて零からの出直しをするということは、経済的にも精神的にも被告にとっては極めて困難を伴う事柄である。

 昭和57年の本件賃貸借契約の更新の時から、被告は原告に対して、患者を離したくないので本件建物の建替えを行うのであれば新築建物へ再入居させて欲しいことを申入れている。

 以上のような原被告双方の事情を対比して考えると原告側における本件建物の明渡を求める必要性というのは、自らが使用する緊急の必要性があるあるというより、その敷地等のより有効な活用を図りたいという点にとどまるものと考えられるのに対し、被告側では、本件建物をその営業のための場として使用する極めて切実な必要性を有しているものと認めらる。この点からすれば、原告が被告に対して相当の金額の立退料を支払う意思を有していることを考慮に入れても、正当事由が備わっているとすることはできない。

 (説明)
 本件は当組合員さんの事案で東借連常任弁護団の2人の弁護士が担当した。
 土地の有効利用のための建替えを理由とする明渡請求訴訟が多い中で、有効利用のための建替えよりも、借家人の建物を必要とする事情の方が優先するとした判決である。家主は控訴しなかった。

(1989.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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