東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 親子間の借地の転貸借について承諾料を転借地権価格の1%とした例

2008年06月03日 | 承諾に関して

 判例紹介


 親子間の借地の転貸借について、承諾料を転借地権価格の約1%とした例 (東京地裁平成4年9年25日判決、判例集未登載)


 (事案)
 BはAから宅地35坪を借地しているが、借地上の建物の建替(改築)を計画、しかしBは高齢で無職のためもはや住宅ローンを借りられない。同居を予定している二男Cが建築するしかない。

 この場合、①BからCに借地権を譲渡するか、②Bの借地をCに転貸するか、いずれかによることになる。①の場合は贈与税が気がかりだし、②の場合には無償使用の届出を税務署に提出しておけば贈与税はかからない(その代わりB死亡後B名義の借地権は相続の対象になる。しかし相続税の方が贈与税よりずっと安くてすむ)。

 そこでBCは②を選択。地主Aに改築と合わせて転貸借の承諾を求めたが、Aは間近に更新を控えているので(平成3年12年31日が期間満了)、先ず更新料を支払ってもらい更新契約を済ますことが前提だと主張して譲らない。

 BCは已む無く改築の許可と転貸の許可を求めて借地非訟の申立をした。(BCは新築後は同居する親子であるから、転貸の承諾又は承諾に代わる裁判所の許可がなくても無断転貸を理由とする借地解除が認められる可能性は極めて低いといえるが、そういったトラブル回避のため転貸の点も申立をした)


 (決定)
 1、改築承諾料は更地価格の約3%が相当である。

 2、転貸承諾料について、鑑定委員会は、本件転貸借を許可する場合の財産上の給付を、借地権を第三者に譲渡する場合の譲渡承諾料の慣行(借地権価格の10%程度)に照らし転借地権価格(更地価格の49%。すなわち借地権価格の70%の更にその70%)の約10%が相当だとする。

 しかし、当裁判所は、本件が第三者ではなく親子間の転貸借であること、転貸借後も申立人Bは本件土地の上に居住し土地の利用者に実質的な変更はないこと、転貸借の設定によりBに何ら権利金等の金銭的利益の生じていないことに照らし第三者への借地権譲渡の承諾料割合を用いるのは相当ではなく転借地権価格(前記のように更地価格の49%)の1%が相当と判断する(坪当り1万円強)。

 3、なお相手方Aは更新料の支払を命ずるべきだと主張するが、当事者間の利益を図るためには前記1、2及び賃料も改定することで足りるからAの主張は採用しない。


 (寸評)
 「決定」のうち1は判例通り、3も当然のこと。問題は2の転貸借承諾料であったが、本当はゼロでもよいと考えられる。裁判所が転借地価格の約1%(更地価格に対する割合にすりと0.49%)としたのは、親子間の場合には形式的名目的なものでよいということである。先例が見当らないのでご紹介する次第。

(1992.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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