東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 和解調書による賃料滞納等に基づく契約解除が許されないとされた事例

2007年05月28日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 和解調書における賃料滞納等による無催告解除特約に基づく解除が許されないとされた事例 東京地裁平成3年8月30日判決、判例集未搭載)

 (事案)
 ビルの一室を借りて喫茶店を営む賃借人と家主との間には、かつて明渡請求の裁判があったが、賃貸借を継続することで和解が成立。その和解調書(判決と同じ効力=強制執行力がある)には、「賃料の支払いを1か月以上遅滞したとき又は和解条項に定める義務に違反したときは、家主は何らの通知催告をしないで契約を解除することができる」旨の特約があった。

 家主は、「賃借人は①賃料は毎月末日限り翌月分払いの約定にもかかわらず平成2年1月分の賃料2月13日に、2月分は19日に支払ってた。②客に酒類は提供しないとの約定なのにビールなどを出している。③ゴミは廃棄物処理業者に回収させる約定なのに最寄のゴミ集積所に出している」として右の特約にもとづいて、催告なしにいきなり賃貸借契約を解除し、店舗明渡の強制執行をしてきた。

 賃借人は、保証金を積んで強制執行の一時停止決定を得、本裁判で契約解除の無効、強制執行の違法性を争った。

 (判決)
 ①について。「前訴の和解条項による無催告解除の事由に当るのは1か月と13日にすぎないこと。そして賃借人は2月19日付の回答書をもって速やかに遅滞の弁明と遅滞分を支払った事実を通知したこと、当時働いていた女性従業員が辞め賃借人一人が営業にあたらざるをえない事情があったこと、3月分以降は遅滞なく支払っていること。このような賃料遅滞の程度態様からすれば賃料1か月の遅滞を理由に無催告解除することは許されない」

 ②にていて。「酒類の提供もビールとサワードリンクを従たる提供物として客に提供する態様で前訴の和解成立その前後から行われているものであり、社会通念上喫茶店としての営業形態を逸脱するようなものではなく、本件解除前に家主からこの点の違約をとがめられたこともない」

 ③について。「約定通りゴミを業者に回収依頼すると1回7000円くらいの費用を要する事情もあり、本件解除前にこの点の違約を家主から殊更問題にされたこともない」

 「以上の事実関係に照らすと、家主が本件賃貸借契約上の義務違反として主張する諸点は、それ自体として、賃貸借当事者間の信頼関係を破壊するに足りるほどのものではないので、契約解除は無効である」

 (寸評)
 この事件は和解調書違反を問われたものであるが、和解は裁判官の介入のもとにおける約定であるから、自ら一般契約書違反とは重きが違う。解除無効の理由付けもごく常識的であり説得力もある。

(1991.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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