東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 借地上建物の修繕

2011年04月13日 | 増改築・改修・修繕(借地)

【問】 雨漏りがひどいので、屋根を瓦葺からトタン葺に全面修繕しましたが、地主は無断でやったので、契約違反だから明渡せと言います。どうしたらよいでしょうか。


【答】 借地契約があり、借地関係が続いている間は、地主は借地人に対し、その土地を利用させる義務を有しているのであり、借地人としては、その対価として地代を支払っているのですから、その土地を契約に定めた用法に従って使用収益をすることは何ら差支えありません。

 借地契約における賃借の目的物は土地であり、その上に建っている建物ではないのですから、借地人が土地の形状に著しく変更を与える修繕したような行為をしない限り、建物についてどのような工事をしても、地主に対する保管義務に違反するものではないことは明らかです。

 ご質問のように、借地人が自己所有の建物について修繕したことについて、無断だとか、契約違反だから、明渡せというのはまったくの筋違いです。

 このように、借地人が自己所有の建物について、どのように工事をするかは自由です。そして、借地権が法定更新によって継続するためには建物が存続していることが必要ですから、借地人は普段から建物に手を入れ、良好な状態に維持管理していくことは、借地権を維持していくためにも重要なことです。

 借地人が自己所有の建物について修繕することについては自由なのですが、問題は、借地人が大修繕を加えたがために、今までの建物であれば朽廃の状態に達したであろう時期に、朽廃に達しないという場合です。このケースは、建物が老朽化し、通常の修繕では間に合わず、大修繕をしたような場合をいうのです。

 この問題については借地人が大修繕を加えても、通常加えられるべき程度の修繕を加えてもなお朽廃すべかりし時期に、借地権は消滅するという考え方もあります。

 何もせずに朽廃を待つよりは大修繕により建物の寿命が延びた場合であっても、建物の同一性を失う程度に至らないものの場合、つまり改築にあたらないものである限り、現実に大修繕後の建物が朽廃する時期まで、借地権は存続すると考えるべきです。

 これは、借地法が建物の存続する限りは借地権を存続させようとする趣旨で制定されているものであり、借地法中にも、修繕に関する規定はなく、当然建物の修繕は問題ないものとされていることから理由づけることができます。

 あるいは、地主は契約書に「無断増改築禁止特約」があることを理由に 契約違反を言っているのかもしれません。このような「増改築制限特約」は、借地人の増改築によって借地権の存続期間や建物買取請求がなされたときに、地主に不利益を及ぼす恐れがある可能性があるので、その限りでは合理的な理由があるとして有効とされているのです。

 ご質問の場合は、建物の修繕の域を出ないものであり、増改築に当たるような場合とはいえません。

 

東借連常任弁護団解説

あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

東京・台東借地借家人組合

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