東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 大災害時に借地上の建物が滅失 

2005年06月10日 | 増改築・改修・修繕(借地)

   大規模災害で建物が滅失してしまった場合
       借地権と再築はどうなるのか

 (問) 借地上の建物が地震による倒壊・焼失、また津波による流失等の大災害により滅失した場合、或いは、大規模火災で焼失した借地人の権利はどうなるのか。


  (答) 借地契約が借地借家法施行(1992(平成4)年8月1日)前に設定された借地権(建物滅失後の建物築造)に関しては借地法7条が適用される(借地借家法附則7条)。

 借地権の存続期間が終了する前に地震・火事・台風等による災害によって借地上の建物が滅失した場合は借地権自体は消滅しない。借地法7条は建物が滅失しても建物を再築することが出来ることを規定している。

 仮に、借地法7条の規定に反して再築をを禁止する特約があったとしてもは、判例上、借地法11条の規定によって借地権者に不利益なものとして無効とされる(最高裁1958(昭和33)年1月23日判決・民集12巻1号72頁)。

 他の判例でも「建物を新築する時は、地主の承諾を得る旨の特約があるとしても、この特約は消失した建物を再築する際にも地主の承諾が必要である趣旨ではない」(東京高裁1958(昭和33)年2月12日判決)としている。従って災害による滅失の場合は増改築を制限する特約があっても地主の承諾は不要と言うことになる。

 問題は、借地人の建物が滅失している間(例えば建物の再築が資金繰等で長引いている場合)に、地主が第三者に土地を売却してしまった場合である。

 本来、借地人は借地上の建物を登記しておけば土地所有者が代っても新所有者に対して自分の借地権を対抗(主張)することが出来、借地の明渡しを求められることはない。

 しかし、建物が滅失している間に土地を取得した新所有者に対しては原則的には借地権を主張することは出来ないのが原則である。

 「借地借家法」は借地人の救済の措置として、建物の滅失の原因を問わずに借地人が建物を特定する事項・建物の滅失の日・建物建築予定等を掲示することによって建物が無くても旧建物の滅失の日から2年に限って新所有者に対抗することが出来る借地借家法10条2項)という救済規定を定めている。但し、対抗力の維持は滅失建物が登記されていたことが条件になる。

 大規模災害があった場合は政令で適用地域を定めて罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法)が適用される。1995(平成7)年1月17日の阪神大震災の場合は20日後に処理法が指定された。

 「処理法」は借地権の存続期間に関しては建物の再築を容易にするために残存期間が10年以下の場合は一律に政令施行日から10年間に延長される(処理法11条)。

  また政令施行日から5年間に限り建物が滅失のままでも前記掲示をしなくても新所有者に借地権を対抗することが出来る(処理法10条)としている。この5年が経過する前に、建物を建築し、建物の保存登記をすれば、その後も借地権の対抗力を維持することが出来る。

 尚、処理法10条による対抗力は、建物の登記が無いまま建物が滅失した借地権者にも、5年間の対抗力がある(最高裁1957(昭和32)年1月31日判決・民集11巻1号150頁)。

 

<追記>
罹災都市借地借家臨時処理法は、「大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法」の施行により、2013年9月25日に廃止された。

 

東京・台東借地借家人組合

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