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【金融システム危機も待ち受ける?】メルトダウンに向かうイギリスとポンド④

2015-11-05 00:02:47 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 ということで、英国が唯一の拠り所とする通貨ポンドは、同国のモノ、不動産、そして株の魅力消滅とともにそれらの引換券としての有り難味もすっかりなくなっていること、そして為政者とイングランド銀行(中銀;BOE)によってさらに増刷されるリスクが高まっていることから今後、その価値は大きく減価するしかない―――つまりインフレ通貨になるしかない―――と予想しています。

 なお後者に関して前回は公共インフラ投資にかかる事実上の「財政ファイナンス」が実行されるおそれ(?)を指摘しましたが、これに加えて英国の場合は他の欧米諸国と同じく、近い将来、資産価格暴落が引き起こす金融恐慌に対処するため、銀行救済のための巨額公的資金を工面しなければならない非常事態に直面するでしょう(?)。その金額はおそらくインフラ資金などと比べものにならないくらいのデカさになりそうですが、この大金を歳入とか低利の国債発行によって用意することなんていまの英国には不可能。だから結局、これまた財政ファイナンス、あるいは危機に陥った銀行にBOEが直接マネーを注入する(優先株を引き受ける等)といった、つまりはさらなるおカネの増刷策(ポンド暴落につながりかねないリスキーな策)しかないわけです・・・。

 そんな信認崩壊の危険に満ちたポンドにすがる英国ですが、前述のようにそのソブリン格付けはAAA(S&P)なわけです。これまた前回書いたとおり、そして実質的に英国がやっているように、自国通貨建ての債務なんて、インフレを承知で中銀に紙幣を刷らせれば無限に埋め合わせができてしまいます。ゆえにその格付け自体に意味がないことになりますが、日本がA+(同)といったように、実際には同じ自国通貨建ての国債でも格付けに差がつけられています。で、その理由ですが、ひたすらの経常赤字国(世界ワースト2位!)で、つねに金利上昇圧力にさらされている英国を高格付けにしてみせることによって、少しでも同国が低いコストで資金調達ができるように、という配慮なのでしょう、きっと。そこには合理性なんてないわけで、あるのは身びいきだけ(大手3格付会社のうち2社はアメリカ、1社は英国を本拠にしている)・・・?

 先日のロイター等の報道によると、米銀モルガン・スタンレーの分析では中国が総額3.5兆ドルにおよぶ外貨準備の約10%をポンドに振り向けている可能性があるそうです。これが本当だとしたら、中国には慢性金欠の英国に恩を売って(カネを低利で貸して)自国陣営に取り込み、同国とその第一の同盟国アメリカとの分断を図ろう、といった戦略的なねらいがありそう。もっともアメリカもすでに英国と同様、チャイナマネーがなければ国が保てないようですが・・・

 一方で英国は・・・ポンドの価値を買い支えてくれる中国にますます頭が上がらなくなっていきそうです。電力供給(しかも原発・・・)に通貨という、国家の2大存立基盤を中国に握られてしまった英国・・・。何ともトホホですが、そんな英国にはメルトダウン的な作戦―――ポンド大幅切り下げという対中国債務の実質的な踏み倒し(?)という最終策が残っているので、中国もポンドを稼いで喜んでいる場合ではない・・・?

(「メルトダウンに向かうイギリスとポンド」おわり)

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2 コメント

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UK House Price Index (カンベイ)
2015-11-05 01:02:32
いつも大変参考になる記事、ありがとうございます。
英国の不動産バブルの状況からみて
英国でもし資産価格が暴落したら、途方も無い騒動になりそうです。
http://www.economist.com/blogs/dailychart/2011/11/global-house-prices
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Unknown (情報提供ありがとうございます)
2015-11-05 21:37:59
 情報提供、ありがとうございます。なるほど~英「エコノミスト」の分析では英国の不動産価格は30%以上も割高ですか・・・。本稿等で綴ったようにこれは明らかにバブルであり、破綻したときの騒動はご指摘のとおりたいへんなものになるでしょう。

 そして、本当にこれが現実となるときが迫ったような気がしてなりません。そのきっかけは山ほど考えられますが、ひとつ挙げるならば「逆オイルショック」・・・で資金繰りが苦しくなったアラブやロシアのお金持ちが一斉にロンドンの物件を投げ売り、なんて事態。これで不動産価格が暴落したら英国の命脈である金融システムと通貨ポンドは・・・。こうして英国は逝ってしまうわけですね・・・

 ところで、いただいた情報で注目したのは、中国の不動産価格が下がっているいっぽう、同国の人々に人気のオーストラリアとカナダの不動産価格が英国並みに高騰していること。ここから連想されるのは、中国のリッチ層が自国の不動産投機を手仕舞うかわりに豪加両国の不動産を買い漁っているのではないかということです。つまり彼ら彼女らは、ひそかに蓄えた大金を懐に、両国への高飛びを企てているに違いない・・・。なにせ中国は住み心地が悪いですからね(?)。

 で、もちろん中国脱出組の新天地には英国も入っているはずです。なんてことを思うと、アラブの王族が去った後のロンドンの街を占拠するのはチャイナマネーだ!となって、やはり英国は中国に牛耳られる運命にありそうですね・・・
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