世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【公的資金再投入の可能性あり】英国政府、英銀RBS株式売却開始の違和感②

2015-08-13 00:02:03 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 英国政府は納税者に損害を与えることを承知のうえで国有化した英銀RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)の株式売却を開始した―――まあ今回手放した株式数は全体の5.4%に過ぎず、同政府にはトータルの売却で帳尻が合えば、という思惑もあり、その意味では先述のオズボーン財務相の言葉のとおり、政府保有株の放出に先鞭をつけること自体が必要だった、ということになるのかもしれません。

 しかしそれは・・・今後のRBSの株価とか経営状態が良くなっていく見通しが立っている場合に限っていえることのはず。で、このあたりですが・・・むしろ逆に、この先のRBSそして英国の経済環境をめぐる諸情勢はますます不透明になっていくように思えてなりません。

 RBSの株価は現在点で349ペンス(8/7時点)と、先述の英国政府の購入時株価502ペンスを依然、大きく下回ったままです。やはり不良債権処理の遅れが懸念されているのでしょう。このさえない株価がRBSの現状を象徴している感じで、英国政府が「支え」をはずすことができる(政府保有株を手放すことができる)ほど経営体力が付いてきたようにはとても思えません。それにRBSは米国サブプライムローン関連債券の販売をめぐって裁判沙汰に巻き込まれています。同行は敗訴時の罰金の支払いに備えて21億ポンドを引き当てているそうですが、この金額、実際には90億ポンドにまで膨らむとの一部アナリストの予想もあるそうな・・・

 英国の経済状況も似たり寄ったりでしょう。盛り上がっているのはロンドンの不動産投機だけ(?)。実体経済のほうは相も変わらず慢性的な経常赤字体質で、改善の兆しはまったく見られないし、そうしようという気概も感じられない(?)。いまでこそお隣のユーロ圏がもっとひどい(?)のでそれほど目立ちませんが、遅かれ早かれ英国・・・の通貨ポンドは、本来の英国の経済力を反映する水準まで大幅に切り下がるしかないのではないでしょうか・・・。

 そんななかでのRBSは近い将来、政府支援からの脱却どころかさらなる支援―――公的資金の再投入―――が必須となるような非常事態に直面する可能性が高いと悲観(?)しています。もちろんその際は、英国政府はまたもや多額のおカネを拠出しなければなりません。何せRBSは「大きすぎてつぶせない」(Too Big To Fail)世界の大銀行のひとつに数えられていますから、同政府はRBSの経営が傾いたからといって放っておくわけにはいかず、システミックリスクの発生を断固防ぐために行動しなければならない・・・で、金融システム向けの公的資金をねん出するために英国債を乱発してポンド暴落へ・・・といった近未来を英国およびRBSに対して予想しているので、今回の同国政府によるRBS株の「損切り」には強い違和感を覚えた次第です。

 というわけで、本件の今後には大いに注目したいと思います。はたして英国政府は損失の拡大やこれにともなう国民の批判の高まりをものともせずにRBS株の放出を続けるのか、それとも政府の期待のとおり、RBS株が損益分岐点を超える水準にまで値上がりして、結果としてRBS救済とその政府保有株の売却は成功だったといえるようになるのか・・・。その成否は、RBSの財務内容と深い関係にあるアメリカ不動産市場のいっそうの回復にかかっているような気がします。なのでRBS経営者や株主、そして英当局関係者はいま、こう願っているのではないでしょうか―――「どうかアメリカが利上げしませんように・・・」

(「英国政府、英銀RBS株式売却開始の違和感」おわり)

金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【財政再建に逆行】英国政府... | トップ | 【企業数・業界域ともに多彩... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ヨーロッパ」カテゴリの最新記事